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翌朝、エヴァが朝食を用意してくれました。
温かいオートミールに自家製のベリージャムをのせて。
デザートは、カッテージチーズにチョコをコーティングした、
チーズケーキのようなもの。
エストニアはチョコレートでも有名だそうです。

 

さぁ、ミュージアムへ。
街の中心にあるエマユギ川を越えて、Roosi通りをまっすぐ。
戸建ての住宅を両側に見ながらどんどん進みます。

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こんなかわいらしい住宅があったり、 ちょうど最盛期のリンゴを「ご自由にどうぞ」と置いているカゴがあったり。

 

20分ぐらい、気持ちよく歩いていると見えてきました!

あぁ、ここだ。

わくわくしながら向かっていたはずなのに、
目の前にするととても静かな気持ちになりました。
軍用滑走路跡地というこの場所の歴史に加えて、
エストニアには山が無いので、
遠くまで見渡せる、奥行きのようなものを感じたからかもしれません。

そして、大きな庇が印象的なファサードが立ち上がります。

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このファサード、すでにどこかで目にされている方も多いですよね。

 

10月1日。オープン当日とあって、たくさんの人が訪れていました。
エントランスでは、エストニアらしい歌のパフォーマンスに
たくさんの人が聞き入っていました。
「歌う革命」と呼ばれたバルト三国の独立運動が頭に浮かびます。
(街なかのカフェで、バーで。タルトゥでは、人々が歌う場面に多く出会いました。)
また、カフェスペースではおじいちゃんが美味しそうにケーキを食べてくつろいでいたり、
子どもたちがソファで寝転んだり。
端々から、街の人々がオープンを待ちわびていたのが伝わってきます。
そういえば、エヴァが
「今日あるバースデーパーティを断ってミュージアムに行く友人もいるの!」
と話していたな、と思い出しました。

 

さぁ、展示スペースへ。
現代から過去へとさかのぼるように続いています。
ITの国として、Skypeの開発などで世界的に知られるエストニア。
そのSkypeの開発者の椅子も展示されていました。
美しい織物やビアマグなど、伝統的な民芸品も並びます。
それぞれの人が思い出の品について紹介するコーナーも印象的でした。

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たのしい仕掛けもたくさんある展示室内。

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木製のビアマグ。かなりの数が並んでいました。

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地下の常設展「Eco of the Urals」。フィノウグリックというのかな? 先住民族の暮らしの展示もとても素敵でした。

 

気づけば、展示を見はじめて2時間以上。
頭のなかの整理をつけるのがたいへんなぐらい、
エストニアの歴史や文化について学ぶことができました。
壁がうねうねと持ち上がっていて、そのなかに入ると映像を見られたり、
外壁のガラスに描かれたエストニアの伝統的な織り文様が内と外をやわらかく隔てたり。
空間全体で展示が演出されていて、英語もあやふやな私でも夢中で巡っていました。

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エストニアの希望をあらわす8つの星が描かれたガラス。展示室内からはこんな風に外が見えます。

 

そして、外へ。
旧軍用滑走路へと歩いていきます。
あまりに壮大な景色と、そこから空へと向かっていくミュージアム。
「マイナスなものをプラスにとらえていくのはとてもいいと思う」
エヴァたちとはそんな話をしましたが、
彼女が子どもの頃はまだソ連の一部だったエストニア。
独立してたった25年なのだということに驚くとともに、
この国の平和を心から願いました。

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ちょうど夕暮れの時。逆光で分かりにくいですが、滑走路から空へ向かって延びていくミュージアム。

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夜のミュージアムもきれいです。

 

ミュージアムショップでは、なんと切手が!
友人たちに手紙を書きながら夜を過ごし、翌日、日本へ帰ってきました。

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切手に注目! このミュージアムが描かれています。

 

10年というほんとうに長い時間をかけて、
さまざまな壁を乗り越えて実現したプロジェクト。
嬉しそうな、ホッとしたような、ほんの少しだけ寂しそうな、
田根さんの表情が印象的でした。

(編集部 渡辺未央)