コンフォルトのアートディレクターを創刊から務める松田行正さんに、145号でご紹介した「夜咄Sahan」を体験してもらいました。

運動不足のせいで体が硬い身にとって狭いにじり口は関門だったが、昔の日本人は小さかったんだな〜きっと、などと内心愚痴りつつなんとか中にすべりこんだ。

そこには蝋燭2本だけの、どこまでも続きそうな薄暗がりの世界が広がっていた。江戸時代だったら丑三つ時かな〜、娘と照明をすべて消したバスルームでのおばけ屋敷ごっこにも似ているぞ、などと思いつつ、iPhoneでの撮影を試みた。まさにスタンリー・キューブリックが映画「バリー・リンドン」で試みた蝋燭の光の中での撮影だ。キューブリックはNASAと共同で開発した特殊カメラを使っていたが、時代が下れば、iPhoneで十分。貴重なキューブリック体験ならぬ「茶飯(SAHAN)」体験だ。

iPhoneのカメラの性能はすごい、などと感心したところで酒宴がはじまった。ここでは茶事の体験がテーマなので、食事中の所作も重要な脇役。食べながら所作も味わうという、2つの味わいでもう完全に満腹。しかも亭主の宇田川さんは酒好きに話好きときてる。宇田川さんのおもてなしに、時を忘れて完全に身を預けてしまった3時間半だった。(アートディレクター・松田行正)

イラスト・杉本聖士(マツダオフィス)

イラスト・杉本聖士(マツダオフィス)