東京都文京区の根津にある宮の湯は、老朽化で2008年に廃業した。2011年の震災で煙突部分が傷み、再開するのは難しいだろうと噂は聞いていた。千代田線根津駅前という立地から、今後どうなっていくのかと地元の人たちにも注目されていた場所だ。
私も実際に入浴したことはなかったのだが、昨夏、たまたま知人に教えてもらって、1日だけの見学会に行き、そのチャーミングさに驚いてしまった。

廃業して何年も経っているにもかかわらず、とくにモザイクタイル画、天井の配色はいまでも瑞々しさを感じる。営業時に、くもる湯けむりの中で見たら、さぞや楽しかっただろう。

レインボーな天井が素敵。

ポップな鳥のモザイク画。

椰子の木のビーチもさわやか。

モザイクの1粒もつやつやとかわいい。

タイルの壁には小さい貝やカニがいる。

東京大学の大学院生達と一緒に見学会を企画した(株)シルクの永野達也さんにお話をうかがった。

宮の湯は昭和26(1951)年着工、翌年に開業。戦後すぐで、まだ回りになにもなかったような場所にポンと建てられたんだよと、80代の大工棟梁が教えてくれたそうだ。1980年に一度改修されたようで浴槽や床は変わっているが、タイルは創建当初のものではないかという。

アートやITに関わる仕事をしてきた永野さんは、2017年にこの宮の湯で2度アートイベントを行っている(詳細はリンク1リンク2を)。そして、ぜひこの空間を残したいと思ったという。宮の湯の経営者だった鈴木夫妻のご親戚で現在のオーナーである鈴和地所(鈴木さんのコメントはこちら)をはじめ、多くの人の協力のもと再生に向けて動き出した宮の湯は、今年、ギャラリーやカフェのある複合施設として生まれ変わる予定だ。 「多くの人が自宅にお風呂を持つようになったいま、時おり訪れる銭湯は非日常の空間でもあります。その魅力を生かしながら、宮の湯を、いつもと違う美しい時間を過ごせる場所、アートに浸かる場所として再生していきます」と永野さん。懐かしくて新しい空間、「新生宮の湯」のオープンが楽しみだ。

(編集部 豊永)




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