INAXライブミュージアム企画展「光を集め、色を放つ ―建築を彩る多田美波の造形―」

愛知県常滑市のINAXライブミュージアムにて、彫刻家の多田美波（1924-2014）が残した多彩な仕事のうち、建築空間のために制作した21作品をピックアップした企画展「光を集め、色を放つ ―建築を彩る多田美波の造形―」が開催されている。
戦後日本における工業技術の発達に伴って登場した、アルミニウム、ステンレス、アクリル、ガラスなどの新しい素材と技術をいち早く取り入れ、かつ、透過や反射・屈折といった光の性質にも着目、この2つを掛け合わせた表現と作品制作に取り組んだ多田。その造形は、環境や建築と調和し、彫刻においては鑑賞者を作品に入れ込むなど、量塊に着目する古典的な表現からの脱却・変革をはかったという。

INAXライブミュージアム企画展「光を集め、色を放つ ―建築を彩る多田美波の造形―」
ロイヤルホテル［現リーガロイヤルホテル（大阪）］光造形《瑞雲》1973年クリスタルガラス、ボールチェーン W350×D150×H50cm 21基
撮影：西川孟　写真提供：多田美波研究所（※写真は完成当時のもの）

INAXライブミュージアム企画展「光を集め、色を放つ ―建築を彩る多田美波の造形―」
新宿住友ビル／東京吹抜天井造形
1974年ガラス、鉄 W1540×D1330×H340cm
撮影：作本邦治　写真提供：多田美波研究所（※写真は完成当時のもの）

本展は、帝国ホテル東京、リーガロイヤルホテル（大阪）、新宿住友ビルなどの空間において、多田が手がけたさまざまな作品の写真のほか、貴重なスケッチ、模型、素材サンプルなどの資料で構成され、作家ならではの造形の魅力を伝え、その源流を探る。

INAXライブミュージアム企画展「光を集め、色を放つ ―建築を彩る多田美波の造形―」
聖徳大学川並香順記念講堂／千葉緞帳《瑞光》（1980年）のためのアルミニウムの短冊状パーツ　W4× H19～ 50cm/ 短冊
所蔵：多田美波研究所　撮影：佐治康生

多田美波（ただ・みなみ）プロフィール
彫刻家。1924年に父親の赴任先である台湾・高雄で生まれた後、京城（現・ソウル）で成長期を過ごす。幼い頃より絵画を始め、1937年13歳で官展に出展。1944年に女子美術専門学校（現・女子美術大学）西洋画科を卒業。独学で彫刻を始め、1956年より金属、立体作品と光による空間造形を発表。1962年に多田美波研究所を設立。生涯で200の彫刻作品、建築に関連した作品500を制作。2014年に逝去。
主な受賞に、第1回ヘンリー・ムーア大賞（1979年）、第6回吉田五十八賞（1981年）のほか、1988年に紫綬褒章受章、1994年に勲四等宝冠章を叙勲されている。

本展で紹介する作品・プロジェクト：帝国ホテル東京光壁《黎明》（1970年）/ 京王プラザホテル《スペースターミナル》（1971年）/ ロイヤルホテル［現リーガロイヤルホテル（大阪）］光造形《瑞雲》（1973年）/ 新宿住友ビル吹抜天井造形（1974年）/ 聖徳大学川並香順記念講堂緞帳《瑞光》（1980年）のためのアルミニウムの短冊状パーツ / 春日井市庁舎《翔光》（1990年）/ 東京芸術劇場光壁《調》ガラスブロックの試作品（1990年）/ 紀尾井ホール（東京）シャンデリア（1995年）

information

企画展「光を集め、色を放つ ―建築を彩る多田美波の造形―」
英語タイトル：Gathering Light, Radiating Color：The Works of Tada Minami in Architecture」
会期：2023月10月7日（土）～2024年3月26日（火）
休館日：水曜（祝日の場合は開館）、2023年12月26日（火）～2024年1月4日（木）
会場：INAXライブミュージアム「土・どろんこ館」企画展示室（愛知県常滑市奥栄町1-130）
観覧料：一般 700円、高校・大学生 500円、小・中学生 250円（INAXライブミュージアム共通入館料にて観覧可）
問合せ先：TEL.0569‐34‐8282
主催：INAXライブミュージアム
企画：INAXライブミュージアム企画委員会
協力：多田美波研究所（岩本八千代、渡部克己、本間充明）
展示デザイン：＋建築設計田代朋彦
会場グラフィック：小林すみれ