2018年8月26日から4日間上海に行ってきました。国際見本市・インターテキスタイル上海 ホームテキスタイルを取材するためです(詳細は11月5日発売の『コンフォルト』165号「土から始まる 左官とタイル」特集をご覧ください)。
虹橋空港に降り立って、まずはホテルへ。最上階の部屋から見下ろすと、びっしりと建築で埋め尽くされていて、なかなかに壮観でした。これまでに訪れた北京をはじめ、山西省大同でも、雲南省麗江でも、とにかく広大で“大地”を感じさせる。中国って大陸なんだなぁ、といつも思うのですが、今回もやはり。
荷物を整理し、ひと休みして、向かったのは地下鉄の駅〈徐経東〉。ここから2号線の〈南京東路〉に向かい、10号線に乗り換えて〈海倫路〉で降り、徒歩10分ほどで最初の目的地「1933老場坊」に到着しました。1933年にイギリス人建築家の設計で建てられた屠殺場で、2002年にリノベーションされた複合商業施設です。ファサードのグリルは南大阪教会(設計/村野藤吾 1928年)を彷彿とさせます。内部は、円形の建物を面取りしたロの字形でぐるりと囲み、両者をブリッジでつなぐというプラン。円形とロの字形の間は吹き抜けていて、ブリッジはフラットだったり、微妙な勾配が付いていたり、アクロバティックな様相。そして上下階の移動にはスロープがあり、マッシブな螺旋階段があって、これまた視線がめくるめく……。仕上げはとくになされておらず、ほぼモルタル1色なので、壁と天井と床の認識があいまいになって、不思議な景色となっていました。ちょっとラビリンスに迷い込んだみたいに。ちなみにテナントは歯抜けになっていて、1階のスターバックスと、何階かに入っていた猫カフェ(?)だけがにぎわっていました。
次に向かったのは、新天地です。1920〜30年頃のフランス租界だったときに建設された、石庫門という中洋折衷の集合住宅をリノベーションして、街並みを再生したエリアです。たくさんのレストランやブティックなどが並び、観光客も大勢歩いていました。時分どきだったし、喉も潤したい。オープンエアのレストランで、とりあえずビールをば。上海では最近クラフトビールが流行っているらしく、種類も豊富でした。
翌日は丸々取材。
28日は、仕事の合間に上海在住の知人に連れられて中華を堪能。そのあと「上海生命科学研究院生物医学大数据中心」に案内してもらいました。内田祥三が設計を手がけ、1930年に竣工した建物で、上海市人民政府から歴史的建造物に指定されているようです。銘板には「日本東京帝国大学工学院に似ている」と書かれており、スクラッチタイルにおおわれた姿は「まさに!」でした。
そして仕事に戻り、海外のプレスの方々と国家会展中心のそばのレストランへ。たくさんの複合商業施設が集まるエリアは、規模もデザインも弩級でした。食事内容も上海滞在中でもっとも豪華。冷えたビールで乾杯!
*振り返ってみると、今回仕事以外で訪れた建物は1930年代のものがほとんどでした。そのあたりに引かれるのかな。
(編集部 阪口公子)