グラフィックデザイナー祖父江 慎(そぶえ しん)氏と、氏が主宰するデザイン事務所コズフィッシュが世に送り出してきた装幀作品を通じて、知られざる「本」の魅力に迫る、日比谷図書文化館特別展。
会期は1月23日から2月14日まで開催された前期「cozf編」と、16日から始まる後期「 ish編」に分かれ、間に展示替えを挟んで約2000冊が出展される。吉田戦車の漫画『伝染るんです。』、恩田陸『ユージニア』、夏目漱石『心』など、会場に並んでいる書籍や雑誌のうちいずれか一冊は、誰しも一度は必ず目にしたことがあるはずだ。
単に表紙を見せるだけでなく、造本プランや著者や印刷所とのやりとりが書き込まれた校正指示書なども展示。アミ点、版面(ハンヅラ)、台割りなどの専門用語も併記されるが、読者の側が決して目にすることのないブックデザインの工程が披露されるのは貴重。
なお、タイトルは脱字による誤記ではない。フライヤーの表面を飾るビジュアルも烏賊(イカ)ではない。謎かけのようなこれらの仕掛けを目にした瞬間から、すでに祖父江ワールドは始まっている。