ウィーンと京都で活躍したデザイナー、上野リチ・リックス(1893–1967、Felice [Lizzi] Rix-Ueno)[*]の仕事を総覧する大規模回顧展。
1893年(明治26)に芸術爛熟期のウィーンに生まれたリチは、ウィーン工芸学校でテキスタイル、七宝、彫刻などを学び、卒業後は、建築家のヨーゼフ・ホフマン(1870-1956)とデザイナーのコロマン・モーザー(1868-1918)が設立したウィーン工房に入り、デザイナーとして活躍した。
1925年(大正14)に日本人建築家の上野伊三郎(1892-1972)との結婚を機に、翌年から京都に移り住み、京都市に上野建築事務所を開設する。1939年(昭和14)のドイツのポーランド侵攻に端を発する第二次世界大戦が始まる前、1935年(昭和9)までは、ウィーンと京都を行き来しながら、壁紙やテキスタイルなどの日用品や、室内装飾など多彩なデザインを手がけた。
戦後は、夫とともに、京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)の工芸科で図案(デザイン)を教え、1960年に教授に就任する。1963年(昭和38)に70歳で定年退職した後は、インターナショナルデザイン研究所を設立し、1967年(昭和42)に没するまで後進の育成にも尽力した。
リチゆかりの京都で開催される本展は、国内最大規模の作品群を所蔵する京都国立近代美術館からの出品に加え、オーストリア応用芸術博物館/現代美術館(ウィーン)など国内外の機関から、リチと彼女に関連した作家の作品と資料を招来し、約370件の展示で、色彩豊かで創造力にあふれたリチのデザイン世界の全貌を紹介する。
なお、本展は、このあと東京に巡回。東京・三菱一号館美術館を会場に開催される(会期:2022年2月18日から5月15日)。
*上野リチの結婚前の正式な名前はフェリーツェ・リックス(Felice Rix)で、「リチ(Lizzi)」は愛称。結婚後の名前をリチ自身は、ドイツ語式に「Felice Ueno-Rix」と綴り、自ら愛称を用いて「Lizzi Ueno-Rix」とも記している。日本での勤務先である京都市立芸術大学でも「上野リチ」と記載されているため、本展覧会でもその表記を踏襲しつつ、「上野リチ・リックス」を正式な表記として採用している。文中では煩雑さを避けるため、「リチ」と表記する
information
「上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー」
会期:2021年11月16日(火)~2022年1月16日(日)
休館日:月曜、12月28日(火)~1月3日(月)※但し、1月10日(月・祝)は開館
開館時間:9:30-17:00(金・土曜は20:00、入館は各日とも閉館30分前まで)
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開館時間は変更となる場合あり。来館前に最新情報をホームページなどで要確認
会場:京都国立近代美術館(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1)
観覧料金:一般 1,700円、大学生 1,100円、高校生 600円、中学生以下無料
※本料金で京都国立近代美術館コレクション展も観覧可
問合せ先:075-761-4111(京都国立近代美術館 代表電話番号)
主催:京都国立近代美術館、朝日新聞社、関西テレビ放送
後援:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム
協賛:ダイキン工業、竹中工務店
特別協力:MAK-オーストリア応用芸術博物館/現代美術館、ウィーン
展覧会詳細
https://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2021/444.html
展覧会特設サイト
https://lizzi.exhibit.jp/
読者プレゼント
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応募締切:2021年12月14日(火)
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