タイル名称統一100周年を記念する巡回企画展「日本のタイル100年――美と用のあゆみ」

LIXILが運営する、土とやきものの魅力を伝える文化施設・INAXライブミュージアム(愛知県常滑市)にて、タイル名称統一(とういつ)100周年を記念する巡回企画展「日本のタイル100年――美と用のあゆみ」が4月9日より開催されている。

本展は、建築史家・建築家の藤森照信氏監修のもと、INAXライブミュージアム、多治見市モザイクタイルミュージアム(岐阜県多治見市)、江戸東京たてもの園(東京都小金井市)の3館共同企画。常滑での本展終了後、2会場に巡回。それぞれで異なる展示構成で開催される。

タイル名称統一100周年を記念する巡回企画展「日本のタイル100年――美と用のあゆみ」
会場風景(撮影:河合秀尚)

「建物の壁や床を覆う薄板状のやきものは、すべてタイルと呼ぼう」

100年前の1922(大正11)年4月12日、東京・上野で開催されていた「平和記念東京博覧会」に際して開かれた「全国タイル業者大会」において、陶磁器製の建築材の呼称が「タイル」に統一されました。当時、「敷瓦(しきがわら)」「腰瓦(こしがわら)」「張付煉瓦(はりつけれんが)」「化粧煉瓦(けしょうれんが)」「タイル」など25以上もの名称が使われ、不便解消のための策でした。また、会場内にはタイルづくしの特設館が出展され、タイルが大々的にアピールされるなど、1922年は日本のタイル史に刻むべく特別な年であると言えます。

タイルは、古代エジプトのピラミッド地下空間壁面を飾ったものが起源とされています。高温で焼かれるため水や火に強く、腐食しにくく汚れを落としやすい特性から、数千年の時を経て世界各地に広まりました。日本では6世紀の仏教伝来とともに、神社仏閣や土蔵など建築物の床や壁にやきものが使われ始めます。大きな転換点は、文明開化により西洋からタイルや煉瓦、テラコッタを用いた建築文化が伝わったことです。輸入品を手本にタイルの量産化が始まり、地震や感染症の流行などの大事を経ながら、生活様式の変化や都市化に合わせて日本独自のタイル文化が花開きます。
生活空間を守るとともに心豊かに彩ることができるタイル。本展では、名称統一以前までに醸成されてきたタイル文化の変遷を振り返りながら、台所、トイレや洗面所、銭湯・温泉、ビルや大学、地下鉄の駅、たばこ屋など、さまざまな場で多種多彩に使われてきた日本のタイル100年のあゆみを時代背景とともに紹介します。タイルの魅力に改めて気づき、可能性を考えるきっかけとなれば幸いです。

タイル名称統一100周年を記念する巡回企画展「日本のタイル100年――美と用のあゆみ」

information

タイル名称統一100周年記念 巡回企画展「日本のタイル100年――美と用のあゆみ」
会期:2022年4月9日(土)~ 8月30日(火)
会場:INAXライブミュージアム「土・どろんこ館」企画展示室
休館日:水曜(祝日の場合は開館)
観覧料:共通入館料(一般:700円、高・大学生:500円、小・中学生:250円)にて観覧可

主催:INAXライブミュージアム
企画:INAXライブミュージアム、多治見市モザイクタイルミュージアム、江戸東京たてもの園
監修:藤森照信(建築史家、建築家)
展示デザイン:中原崇志、永田耕平(DENBAK-FANO-DESIGN)

巡回スケジュール(共に予定)
多治見市モザイクタイルミュージアム 2022年9月17日~2023年1月29日
江戸東京たてもの園 2023年3月11日~8月20日

展覧会詳細
https://livingculture.lixil.com/topics/ilm/clayworks/exhibition/japanesetile/

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