国宝7件、重要文化財84件を含む、約6,500件の東洋古美術品と古典籍を所蔵する静嘉堂文庫美術館が、世田谷区内から丸の内に移転。明治生命館1階に展示室が新設され、10月1日にオープンする。
重要文化財 明治生命館 昭和9年（1934）竣工
静嘉堂文庫美術館は、三菱を創業した岩﨑弥太郎（1835-1885）の弟で、三菱第二代社長を務めた岩﨑彌之助（1851-1908）が創設し、息子の小彌太（1879-1945）三菱第四代社長）によって拡充された。彌之助は、明治期の社会が西洋文化偏重となり、苛烈な廃仏毀釈もあった中で、国内での屈指の寺宝や美術品が二束三文で次々と海外へと流出していくのを憂い、これを防ごうとした。日本の伝統的な美術品を蒐集し、絵画・彫刻・書跡・工芸まで幅広く購入。同時代の芸術作家たちも積極的に支援して、日本文化の保護に努めた。彌之助の嗣子・小彌太もそれに倣い、国内でも屈指の美術品コレクションを有するに至っている。
国宝 《曜変天目（稲葉天目）》 南宋時代（12-13世紀） 静嘉堂文庫美術館蔵
「静嘉堂@丸の内」の開館を記念する本展は、前後期に分かれ、同館が所蔵する名品の数々が披露される。なかでも、国宝7件が全て公開されるのが特筆点。世界に数点しか現存しない曜変天目の1つ、国宝《曜変天目（稲葉天目）》は通期で見ることができる（今後は常設展示となる）。琳派の名品からは、俵屋宗達筆の国宝《源氏物語関屋澪標図屏風》が前期に、後期には酒井抱一筆の《波図屏風》が展示される。
国宝 俵屋宗達《源氏物語関屋澪標図屏風》 江戸時代・寛永8年（1631） 静嘉堂文庫美術館蔵
展示構成
第1章 静嘉堂コレクションの嚆矢−岩﨑彌之助の名宝蒐集
第2章 中国文化の粋
第3章 金銀かがやく琳派の美
第4章 国宝「曜変天目」を伝えゆく―岩﨑小彌太の審美眼
重要美術品 《唐物茄子茶入 利休物相（木葉猿茄子）》 南宋〜元時代（13-14世紀）
新たな愛称「静嘉堂@丸の内」としてリスタートを切る静嘉堂文庫美術館の立地は、創立者の岩﨑彌之助がかつてミュージアム建設を夢みたという丸の内。皇居のお堀端に建つ明治生命館は、昭和9（1934）の竣工で、昭和の建造物として初めて国の重要文化財指定を受けている。移転・開館に際して、当初の建築部分を生かして新しい展示室が設けられている。
静嘉堂文庫美術館 展示ギャラリー（ホワイエ）竣工写真 提供：竹中工務店
information
静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展I「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」
会期：2022年10月1日（土）〜12月18日（日） ※前後期で展示替えあり
前期 10月1日（土）〜11月6日（日）
後期 11月10日（木）〜12月18日（日）
会場：静嘉堂@丸の内
所在地：東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階
開館時間：10:00-17:00 ※金曜は18:00閉館、入館は各日とも閉館30分前まで
休館日：月曜（祝日の10月10日を除く）、10月11日（火）、11月8日（火）、11月9日（水）
入館料：一般 1,500円、大学・高校生 1,000円、中学生以下無料
問合せ先：050-5541-8600（ハローダイヤル）
主催：静嘉堂文庫美術館
静嘉堂文庫美術館 公式ホームページ
https://www.seikado.or.jp/
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応募締切：2022年10月14日（金）
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