不思議な世界観と、モノトーンの緻密な線描で、世界中に熱狂的なファンをもつ絵本作家、エドワード・ゴーリー(Edward Gorey)の展覧会が、東京・渋谷区立松濤美術館で開催されている。
絵本をはじめとするゴーリーの作品が、日本国内の版元から日本語訳で刊行されたのは、没年の2000年10月以降。その後も刊行は続き、作家の代表作である『うろんな客』『不幸な子供』などが翻訳家の柴田元幸氏の訳で知られるようになり、若い世代を中心に人気が高い。
エドワード・ゴーリー『うろんな客』原画 1957年 ペン、インク、紙 ©2022 The Edward Gorey Charitable Trust
エドワード・ゴーリー(Edward Gorey)プロフィール
1925年シカゴに新聞記者の息子として生まれる。飛び級を繰り返す早熟な少年時代を送る。17歳の頃、シカゴ・アート・インスティチュートで半年だけ美術を学んだ後、第二次世界大戦中はアメリカ陸軍で兵役に就く。除隊後はハーバード大学で仏文学を専攻。
1953年にニューヨークの出版社・ダブルデイ社に就職し、ブックデザインを担当。この頃、最初の絵本を刊行する。いくつかの出版社勤務を経て、1962年に自身の出版社であるファントッド・プレスを立ち上げ、翌年からは専業作家となる。
韻を踏んだ詩的な文章、モノクロームの緻密な描線、19世紀のイギリス文学を彷彿とさせる重厚で独特の世界観をもつ多くの絵本を生み出す。文学やバレエ、映画なども熱烈に愛好して深い造詣を有し、テキストとイラストの両方を自ら手がけた主著(Primary Books)のほかに、挿絵、演劇やバレエのポスターや舞台美術なども多数手がけた。2000年4月米国にて没。
日本では没年の秋に、柴田元幸氏の翻訳によって絵本『ギャシュリークラムのちびっ子たち』、続いて『うろんな客』が刊行された(共に河出書房新社より)。
エドワード・ゴーリー『ジャンブリーズ』 原画 1968年 ペン、インク、紙 ©2022 The Edward Gorey Charitable Trust
日本で近年、知られるようになった絵本の仕事だけでなく、幅広く多彩な創作活動を展開したゴーリー。1986年以降は、米国東海岸・ボストン近郊のケープコッドに活動の拠点を構え、ここが作家の「終の棲家」となった。建物の様相から「エレファント・ハウス」と称されたゴーリー邸は、2000年に作家が没したのち、往時の雰囲気を色濃く残す記念館となり、原画や貴重な資料などを定期的に公開している。
本展は、ゴーリーハウスでこれまでに開催された企画展を再構成したもの。約250点のゴーリー作品を、「子供」「不思議な生き物」「舞台芸術」「本作り」などの章立てで紹介する(会期中、一部展示替えあり)。
展示構成
第1章 ゴーリーと子供
第2章 ゴーリーが描く不思議な生き物
第3章 ゴーリーと舞台美術
第4章 ゴーリーの本作り
第5章 ケープコッドのコミュニティと象
information
「エドワード・ゴーリーを巡る旅」
会期:2023年4月8日(土)〜6月11日(日)
開場時間:10:00-18:00(金曜のみ20:00まで)
休館日:月曜
入館料:一般1,000円(800円)、大学生800円(640円)、高校生・60歳以上500円(400円)、小中学生100円(80円)
※カッコ( )内は団体10名以上および渋谷区民の入館料
※土・日曜日、祝休日は小中学生無料
※毎週金曜は渋谷区民無料
※障がい者および付添の方1名は無料
※リピーター割引あり
主催:渋谷区立松濤美術館
特別協力:エドワード・ゴーリー公益信託、ゴーリーハウス(ケープコッド)
協力:株式会社河出書房新社
企画協力:株式会社イデッフ
読者プレゼント
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応募締切:2023年5月7日(日)
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