市立伊丹ミュージアム「鹿児島睦 まいにち」展

兵庫県伊丹市の市立伊丹ミュージアムにて、「鹿児島睦 まいにち」展が開催されている。陶芸を中心に、テキスタイル、版画などの作品で知られる鹿児島睦(かごしま まこと)氏の多彩な仕事を紹介するもので、大規模個展は今回が初となる。

鹿児島氏は、造形作家だった祖父の影響を受け、美術大学で陶芸科を専攻。卒業後はインテリアショップで勤務したのち、2002年に陶芸家として独立。現在は福岡市内に2つの拠点を持ち、制作を行っている。
 
「鹿児島睦 まいにち」展
「鹿児島睦 まいにち」展のための器 2023年(左右2点共)

人々の暮らしを想い、日々、作品づくりに取り組んでいるという鹿児島氏。本展では、朝に始まり夜に終わる一日のシーンにあわせて、動物や植物をモチーフにした約200点の新作の器や、京都の帆布かばん店・一澤信三郎帆布をはじめ、スウェーデンの製陶工場グスタフスベリ社(Keramikstudion Gustavsberg)など、国内外のブランドとコラボレーションして製作された約100点のプロダクツが並ぶ。
 

「鹿児島睦 まいにち」展
左:鹿児島睦 × 一澤信三郎帆布《花:きいろ》 2021年 / 右:Keramikstudion×鹿児島睦 フラワーベース《En Liten Vän》 2018年
 

器は使うものであり、見るものでもあると考える鹿児島氏は、陶芸家として独立した2002年以降、黒地・下絵付けや色地・下絵付け、染付・蝋抜き、鉄絵といったさまざまな技法や素材などを試しながら、現在の作風を確立した。本展では、アトリエでの制作の様子なども披露され、鹿児島氏の作品制作の背景にある「まいにち」を豊かにするものを浮かび上がらせることを試みている。さらには、鹿児島氏の器からインスピレーションを受け、作家の梨木香歩(なしき かほ)が文章を書き下ろした新作絵本『蛇の棲む水たまり』の物語の世界が、今年8月に予定している書籍刊行に先駆けて披露される。

 

「鹿児島睦 まいにち」展
アトリエの鹿児島睦氏(撮影:田附勝)

僕は、朝ごはんを食べながら「今日、何する日?」と奥さんに聞くのが日課なんです。「お皿の絵付けが20枚、16時に窯出しだよ」などといってもらい、一日中、ひたすらそれをやるだけです。

朝の8時頃からはじめて、12時になったらお昼を食べて、13時からまたやりします。その日の予定を終えるまで手を動かすんですけど、普段はNetflixを流したり音楽を聴いたりしながらやりますし、蝋抜きや地塗りなどは家族も手伝ってくれます。集中してはいるけれど、根を詰めるというのとはちょっと違って、淡々と、という感じ。陶芸の作業は夕ごはんまでに終えて、夜は机に向かって絵を描くことが多いかな。僕の毎日は、こんなです。(展覧会図録『鹿児島睦 まいにち』のインタビューより)

「鹿児島睦 まいにち」展 フライヤー
市立伊丹ミュージアム「鹿児島睦 まいにち」展 メインビジュアル

information

「鹿児島睦 まいにち」展
会場:市立伊丹ミュージアム 展示室2・3・5・6(兵庫県伊丹市宮ノ前2-5-20)
会期:2023年6月30日(金)~8月27日(日)
休館日:月曜(但し、7月17日は開館)、7月18日(火)
開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
入館料:一般 1,000円、大学・高校生 700円、中・小学生 400円
主催:市立伊丹ミュージアム(伊丹ミュージアム運営共同事業体 / 伊丹市)
企画制作:西日本新聞イベントサービス、ブルーシープ

市立伊丹ミュージアム ホームページ
https://itami-im.jp/

 


巡回スケジュール(予定)
2023年10月7日(土)~2024年1月7日(日):PLAY! MUSEUM(東京・立川)
2024年2月24日(土)~4月14日(日):佐野美術館(静岡・三島)
2024年4月24日(水)〜6月23日(日):福岡県立美術館(福岡)
https://bluesheep.jp/projects/makoto-kagoshima/

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