東京・天王洲にあるWHAT MUSEUM(ワットミュージアム)にて、企画展「感覚する構造 – 力の流れをデザインする建築構造の世界 -」が開催されている。
WHAT MUSEUM 展示風景 「感覚する構造 – 力の流れをデザインする建築構造の世界 -」 Photo by ToLoLo studio(提供:WHAT MUSEUM)
建物をつくるのは、設計する建築家や施工する建設会社の職能のみに委ねられるものではい。その現場には、建築家とタッグを組み、構造計算などを担当する構造家の存在がある。例えば、本展で取り上げている、伊東豊雄が設計して2000年に竣工した「せんだいメディアテーク」(上の画:左側手前)や、磯崎新による「フィレンツェ新駅」(上の画:右奥 / 2002年のコンペ案)では、佐々木睦朗構造計画研究所が構造設計を担当し、建物のデザインの成立にも大きく関与している。
現代に限らず、古来より、人々は地震による大地の揺れや台風などの風力といった自然の力が及ぶ世界に生きてきた。本展では、近年の建築物のほか、寺社、古民家、橋、仮設のパビリオンなどにもスポットをあて、それぞれに異なり、人々の叡智が注ぎ込まれてきたさまざまな構造について、各種の模型などで紹介する。さらには、近年サステナブルな建材として注目される竹を使った建築作品のモックアップや、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と佐藤淳氏(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 佐藤淳研究室、佐藤淳構造設計事務所)が共同で研究・開発中の月面および宇宙空間における構造物についても紹介する。
また、専門知識がなくても感覚的に力の流れを捉え、構造への理解を深められるように、手で触れて動かせるサンプル展示も一部で用意されているのも本展の特徴のひとつ。
「月面構造物(滞在モジュール / ソーラーモジュール / オーバーハングモジュール)」東京大学大学院 新領域創成科学研究科 佐藤淳研究室、佐藤淳構造設計事務所 photo by Kenji Seo
出展作品(一部)
白川郷合掌造り民家-旧田島家 模型(白川村教育委員会所蔵)/ 浄土寺浄土堂 模型(東京大学総合研究博物館所蔵)/ 薬師寺西塔 模型(明星大学 建築学部 松尾智恵研究室所蔵)/ 錦帯橋 模型(東京大学生産技術研究所 腰原幹雄研究室所蔵)/ パンテオン 模型 / ソチミルコのレストラン 模型 / 豊島美術館 模型(西沢立衛建築設計事務所所蔵)/ 国立代々木競技場 模型 / 東京スカイツリー 模型(東京スカイツリー®︎ 所蔵)/ フィレンツェ新駅(コンペ案)模型 / せんだいメディアテーク 模型(佐々木睦朗構造計画研究所所蔵)/ 瞑想の森 市営斎場 模型(佐々木睦朗構造計画研究所所蔵)/ 多摩美術大学図書館 模型(伊東豊雄建築設計事務所所蔵)
※会期中一部作品の入れ替えを予定
本展は「感覚する構造」の前期展であり、2024年春からは、後期展「感覚する構造 – 法隆寺から宇宙まで -」の開催を予定している
information
「感覚する構造 – 力の流れをデザインする建築構造の世界 -」
会期:2023年9月30日(土)~2024年2月25日(日)
会場:WHAT MUSEUM 1F(東京都品川区東品川 2-6-10 寺田倉庫G号)
開館時間:11:00-18:00(最終入場 17:00まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌火曜休館)、年末年始
入場料:一般 1,500 円、大学生/専門学生 800 円、高校生以下 無料
※同時開催の企画展:TAKEUCHI COLLECTION「心のレンズ」展の観覧料を含む
※チケットはオンラインにて事前購入可
※本展会期中に何度でも入場できるパスポートあり(展覧会パスポート 2,500円 / 本展と同時開催中の展覧会をセットで鑑賞可能)
主催:WHAT MUSEUM
企画:WHAT MUSEUM 建築倉庫
WHAT MUSEUM ホームページ
https://what.warehouseofart.org/
関連企画
2月18日開催決定! 構造家・佐々木睦朗 特別講演会(聞き手:難波和彦)
https://confortmag.net/240218sense-of-structure_whatmuseum-talk/