東京・世田谷美術館にて、倉俣史朗(1934-1991)の大規模展が開催されている。埼玉県立近代美術館にて2013年に開催された「浮遊するデザイン 倉俣史朗とともに」以来、10年ぶりとなる倉俣史朗の大規模回顧展となる。
倉俣史朗《引出しの家具》1967年 富山県美術館蔵 ©︎ Kuramata Design Office
倉俣の代表作として、アクリルの中に造花の薔薇を浮遊するように散らし、1988年11月に発表した椅子《ミス・ブランチ》が挙げられる。それまでの家具やインテリアデザインでは用いられてこなかったガラスや建材用のアルミなどの工業素材に、独自の詩情を加味した家具や空間デザインを手がけ、当時「クラマタ・ショック」と称された強烈なインパクトを欧米諸国に与えた。高い評価は没後30年を経た今も変わることなく、製作数が少ない《ミス・ブランチ》などは、オークションに出品されると競売価格を更新するほど。本展では、オリジナルの1脚を含む3点が、貴重な図面やイメージスケッチとともに展示されている。
倉俣史朗 イメージスケッチ「ミス・ブランチ」 1980年代 クラマタデザイン事務所蔵 ©︎ Kuramata Design Office
本展では、1965年にクラマタデザイン事務所を設立する前に所属していた三愛時代の仕事まで遡り、56歳の若さで急逝するまでの間に手がけたプロダクトの現物、復刻版、図面、スケッチなどが一堂に会する。また倉俣はイッセイ ミヤケのブティックのデザインなども手がけるなど、インテリアデザインも手がけたが、その多くは現存しない。本展では、竣工当時に撮影された店舗の内外観写真がループ上映されており、十数年を経ても色褪せない倉俣デザインを確認できる。これらの源泉となったと思われる、愛蔵の書籍やレコードのほか、見た夢を書き留めていた夢日記も披露されている。
倉俣史朗 ショップ「スパイラル」1990年 撮影:淺川 敏 ©️ Kuramata Design Office
展覧会場を出たところで上映されている約21分の映像資料も見逃せない。倉俣が1989年にパリに滞在した際に、国立高等装飾美術学校の招きでレクチャーを行った後の質疑応答の様子を収めたもので、倉俣自身の言葉でデザイナーを目指した経緯や自作について語られている。
本展の関連イベントとして、クラマタデザイン事務所に1977年から1981年まで所属し、独立後も倉俣史朗に間近で接していた、インテリアデザイナーの近藤康夫(1950-)による講演会「今、倉俣史朗を振り返る」が12月3日に開催される(当日14:00より講堂前にて整理券を配布、会場定員140名)。
information
「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」
会期:2023年11月18日(土)〜2024年1月28日(日)
会場:世田谷美術館(東京都世田谷区砧公園1-2)
開館時間:10:00-18:00(最終入場時間17:30)
休館日:月曜、年末年始(2023年12月29日[金]~2024年1月3日[水])
※2024年1月8日(月・祝)は開館、翌1月9日(火)は休館
観覧料:一般1,200円、65歳以上1,000円、大高生800円、中小生500円
※各種割引、入館時の注意事項など詳細は世田谷美術館ホームページを参照
問合せ先:TEL.050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会詳細
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00216
世田谷美術館ホームページ
https://www.setagayaartmuseum.or.jp
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応募締切:2023年12月6日(水)
ご応募をお待ちしております。
巡回予定
・富山県美術館(会期:2024年2月17日〜4月7日)
・京都国立近代美術館(会期:2024年6月11日〜8月18日)