145号の取材を進めていた5月のある日。組立式文楽舞台での公演「にっぽん文楽」についてうかがうため、東京・国立劇場で襲名公演中の人形遣い・二代目吉田玉男さんにお会いしました。どんな公演だったかは本誌をご覧いただくとして、興味深かったのが文楽をお好きな方にはあたり前! と言われてしまうような、その独特な世界のことでした。
1体の人形を操る3人は普段のお稽古から息のあった動きをしているので、今回のような大きさの違う新しい舞台でも苦労することなく演じられること。
玉男さんのようにかしらと胴体、右手を担当する主遣いは、底に草鞋をつけた高さ15センチ以上ある特殊な下駄を履いていること。
人形のかしらも今回の舞台と同じヒノキを使っていて、何十年と使い込むほど味が出ること。
そんなはじめて知るお話に引き込まれ、公演を見たい気持ちがどんどん大きくなりました。
次回の「にっぽん文楽」は10月17日〜20日、大阪・難波宮での公演が予定されています。美味しいお弁当やお酒を片手に、文楽の世界へ誘われてみませんか?
にっぽん文楽
(編集・渡辺未央)