現代日本を代表する彫刻家、舟越桂(1951-)の個展。
舟越は、東京藝術大学大学院在学中に、函館のトラピスト修道院から聖母子像制作の依頼を受けたことを契機に、本格的に木彫での人物像の制作を開始。1980年代に始まる楠の木彫彩色の人物像は、1990年代前後から異形化が試みられるようになり、新たな表現領域が切り拓かれていく。
舟越は、一貫して人間の姿を表すことにこだわり、「自分の中の水の底に潜ってみるしかない」と、創造にあたってまず、自分自身と向き合う姿勢をとり続けてきたという。その背景には「ある個人を特定して語っていくこと、それが普遍的に人間について語ることになっていく」という思いがあり、また、創作の源となる作者の内面は、ひそかに外につながる水脈を保つ地底湖のように、社会的あるいは個人的な、さまざまな事象を受けとめ、揺らぎ続けてもいる。この作家の心のありようを、本展では「私の中にある泉」という比喩を使って表現している。
舟越桂 《夏のシャワー》 1985年 楠に彩色、大理石、眼鏡 世田谷美術館 撮影:落合高仁
会場では、1980年代から今日に至る舟越の代表的な彫刻作品をはじめ、ドローイング、版画なども展示される。さらには、何かを思うたびに舟越が書き留めているメモ、自作のおもちゃ、小物なども披露される。これらをつぶさに見ていくことで、作品が生み出される作家自身の内なる源泉の姿そのものを探る。
舟越桂 《板きれの人形》 1985年頃 楠、杉、針金 舟越械、舟越みも、末盛武彦、末盛春彦、その他蔵
舟越桂 《「水に映る月蝕」のためのドローイング》 2003年 紙に鉛筆 作家蔵 撮影:今井智己
会期中の関連イベントとして、本展を担当した学芸員による特別講座などが開催される(日時や参加方法など詳細は会場ホームページ参照)。
information
「舟越 桂 私の中にある泉」
会期:2020年12月5日(土)〜2021年1月31日(日)※会期中、一部展示替えあり
開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
※本展会期中、毎週金曜の夜間開館(20:00までの開館時間延長)および館内建築ツアーは中止
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、会期・開館時間・イベントなどが変更・中止となる場合有あり
入館料:一般 500円、大学生400円、高校生・60歳以上250円、小中学生100円
※渋谷区民は割引あり、土・日曜・祝休日は小中学生無料
※毎週金曜は渋谷区民無料
※障がい者および付添1名まで無料
休館日:月曜(但し、1月11日は開館)、年末年始(12月29日[火]〜2021年1月3日[日])、1月12日(火)
会場:渋谷区立松濤美術館(東京都渋谷区松濤2-14-14)
電話番号:03-3465-9421
会場ホームページ:https://shoto-museum.jp
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info@confortmag.net
応募締切:2020年12月25日(金)
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