世界的芸術家、イサム・ノグチ(1904-1988)の創造の軌跡を辿る展覧会。
本展は、4月24日(土)に予定どおり開幕したが、直後に出された東京都の休業要請を受け、4月25日(日)より臨時休館に入っていた。このほど都の規制が緩和され、6月1日(火)より再開する。
日本人を父に、米国人を母に生まれたイサム・ノグチは、東西の間でアイデンティティの葛藤に苦しみながら、独自の彫刻哲学を打ち立てた、20世紀を代表するアーティストの一人。20代で彫刻家コンスタンティン・ブランクーシと出会い、そのヴィジョンに決定的な影響を受けたノグチは、自然と通底する抽象のフォルムが生み出す世界を生涯を掛けて追い求め、彫刻のみならず、舞台美術やプロダクトデザインなど、多岐にわたる分野で足跡を残した。建築家の丹下健三(1913-2005)とは、広島平和記念公園、草月会館のホールなどでコラボレーションを果たしている。
3章立てで構成される本展は、過去に国内で開催されたイサム・ノグチの回顧展と比較して、点数では敵わないが、ノグチが晩年を過ごした香川県高松市牟礼町で制作されたものをはじめ、国内外から石彫作品が集められ、それらを東京でみることができる初の展覧会。作品の素材も石に限らず、金属、紙など、ノグチにとって彫刻とはなんだったのか、さらにはイサム・ノグチとは何者か? 彼とその仕事について来場者が改めて「発見する」ことを意図して開催される。
第1章「彫刻の宇宙」では、来日中のノグチが本美濃紙(ほんみのわし)に出会ったことで誕生した、照明器具「あかり」を約150灯、大小あわせてフロアの中央で大きく展開。ノグチが「光の彫刻」と呼び、太陽と月を表現したインスタレーションを取り巻くようにして、数々の石彫作品が配される。
第2章「かろみの世界」では、折り紙から着想を得た金属彫刻や、ノグチがデザインしたソファーや遊具、スタンド照明など、石がもつ質量とは対照的な「軽さ」をテーマに展示する。第3章「石の庭」では、ニューヨークのイサム・ノグチ財団 庭園美術館蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与)の作家最晩年の作品や、牟礼町のイサム・ノグチ庭園美術館で撮り下ろした映像も上映される。
information
展覧会タイトル:「イサム・ノグチ 発見の道」
会場:東京都美術館 企画展示室(東京都台東区上野公園8-36)
観覧料:一般 1,900円、大学生・専門学校生 1,300円、65歳以上 1,100円
※日時指定予約を推奨
会期:2021年4月24日(土)~8月29日(日)
臨時休館:4月25日(日)~5月31日(月)
休室日:月曜(但し、7月26日、8月2日、8月9日は開室)
開室時間:9:30~17:30(入室は閉室30分前まで)
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、スケジュールや会館時間が変更となる場合あり(最新の情報や入場規制など詳細は、会場WEBサイトまたは展覧会特設WEBサイトを参照)
東京都美術館
https://www.tobikan.jp/index.html
展覧会特設WEBサイト
https://isamunoguchi.exhibit.jp/