19世紀末から20世紀半ばにかけて、ジュエリー作家・ガラス工芸家という肩書を超えて、生涯を通して芸術家としての独自の道を切り拓いたルネ・ラリック(1860-1945)。ラリックの多彩なインスピレーションは、彼が生まれ育った、フランス、シャンパーニュ地方の小さな村の「自然」が育んだと思われる。自然を注意深く観察することによって培われた眼差しは、やがて、イギリスでの経験や日本美術からの影響、大戦間期における古代ギリシア・ローマへの回帰や、エキゾティックな嗜好、新しい女性たちのイメージなど、20世紀初頭のフランスに起ったさまざまに異なる芸術潮流と結びつきながら磨かれていった。例えば、浮世絵にインスピレーションを得て、パリ郊外の自邸付近で撮影した雪景色を表現したペンダントや、 1909年に他界した妻アリスの面影をシダのなかに刻印した香水瓶。同時代の世界と日常身辺の心躍る事象や個人的な記憶に、鋭い観察眼と想像力によって新しいかたちを与え、ジュエリーやガラス工芸を「装飾品」として人々の身近なものにしていくことに貢献した。
本展では、ルネ・ラリックが、自然を起点としてどのように世界を観照し、装飾という芸術を希求したのかを明らかにするもの。会期中、さまざまな関連企画&プログラムも開催される(詳細は、会場ホームページにて随時発表)。
本館と新館に分かれる会場のうち、新館ギャラリー1の展示デザインを、中山英之建築設計事務所が手がける。また、本館の正面玄関のガラスレリーフ扉の装飾は、ラリックが手がけたことで名高い。
東京都庭園美術館 本館 正面玄関
新館ギャラリー1 展示風景(展示デザイン:中山英之建築設計事務所)撮影:三部正博
information
「ルネ・ラリック リミックスー時代のインスピレーションをもとめて」
会期:2021年6月26日(土)〜9月5日(日)
開館時間:10:00-18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜(但し、8月2日・9日・30日は開館)、8月10日(火)
会場:東京都庭園美術館 本館+新館
入館料:一般 1,400円、大学生(専修・各種専門学校含む)1,120円、中・高校生 700円、65歳以上 700円
※日時指定予約制
展覧会詳細・会場ホームページ
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/210626-0905_ReneLaliqueRemix.html
注.COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の今後の拡大状況により、当初のスケジュールや開館時間などが変更される場合あり。最新の開館状況は、会場・東京都庭園美術館ホームページやSNSを確認のこと
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info[@]confortmag.net
応募締切:2021年8月10日(火)
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