個人邸、企業の本社ビル、駅ビル、ドーム式スタジアムなど、アトリエ・ファイ建築研究所との共同設計でさまざまな建築作品と創出してきた建築家の原 広司。今年86歳を迎えた巨匠建築家の活動を、図面資料などから読み解く展覧会が、東京・湯島の文化庁国立近現代建築資料館にて開催される。
同館には近年、原広司+アトリエ・ファイ建築研究所から建築資料の寄贈が進められている。本展では、その中から、原による1967年の著作で、日本の建築界に大きな影響を与えた書籍『建築に何が可能か』の中でも提示されていた2つのキーワード、「有孔体」と「浮遊」をテーマとして掲げ、その後の原の建築作品における展開を、年代を追って展示する図面とスケッチから読み解いていく。「思想:オブジェ、イメージ図、著作物」、「構想:スケッチ」、「実想:設計図面」と大きく3つの「想」に分けられた展示を通して、原広司の思想と実体的建築の関係を解読し、独創的な原の建築デザインの背後にある思考や知的側面などを明らかにする。
JR京都駅ビル Kyoto Station Building|アクソメ図 Axonometric Drawing|1997 *国立近現代建築資料館寄託
展示構成
1.有孔体と浮遊の思想の誕生 1960年代
伊藤邸(1967)、慶松幼稚園(1967)
2.反射性住居と世界の集落調査 1970年代
原邸(1974)、ニラム邸(1978)、工藤山荘(1976)
3.公共建築と様相論 1980年代
田崎美術館(1986)、飯田市美術博物館(1988)、ヤマトインターナショナル(1986)、那覇市立城西小学校(1987)、内子町立大瀬中学校(1992)
4.巨大建築での有孔体と浮遊の実現 1990年代
新梅田シティ・スカイビル(1993)、JR京都駅ビル(1997)、宮城県図書館(1998)、札幌ドーム(2001)
X.コンペティションとイマジナリー
500M×500M×500M(1992)、ピエモンテ州新庁舎設計競技(2000)、実験住宅モンテビデオ(2003)
information
「令和4年度展覧会 原広司 建築に何が可能か-有孔体と浮遊の思想の55年-」
会期:2022年(令和4)12月13日(火)~2023年(令和5)3月5日(日)
休館日:月曜(但し、1月9日は開館し、翌日1月10日休館)、12月26日(月)~1月4日(水)
開館時間:10:00-16:30
会場:文化庁国立近現代建築資料館(東京都文京区湯島4丁目6-15 湯島地方合同庁舎内)
入場料:無料
※旧岩崎邸庭園から入館する場合は庭園観覧料(400円)が必要
※入場時の注意事項:平日は春日通り沿いの湯島地方合同庁舎(および文化庁国立近現代建築資料館)通用門が開門される(平日・無料での入場方法:守衛所にて入館バッチの貸し出しを受け、退去時に同所にて要返却)
関連企画
文化庁国立近現代建築資料館 展示担当スタッフによるガイドツアー
日時:2022年12月16日(金)、20日(火)、23日(金)14:00開始(約50分程度)
集合場所:同館 2階ロビー(14:00集合)
料金:不要、予約不要
定員:約15名(先着順に受付予定)
主催:文化庁
協力:アトリエ・ファイ建築研究所、公益財団法人東京都公園協会
文化庁国立近現代建築資料館 ホームページ
https://nama.bunka.go.jp/