古代エジプトが起源とされるタイル。耐久性および装飾性の高さなどから、世界各地に広まり、根付いた土地で独自のタイル文化が隆盛した。日本にもさまざまな地域を経て伝えられたが、当初から「タイル」と呼ばれていたわけではない。伝来の経緯の多様さなどもあり複数の名称のまま流通していたところ、1922年(大正11)に東京・上野で開催された「平和記念東京博覧会」における「全国タイル業者大会」にて、建物の壁や床を覆う陶磁器製の薄板状を「タイル」と総称することが決まった。以後、日本では地震の被災や戦争からの復興などを経て、日本の暮らしや都市の変化にあわせた独自のタイル文化が花開き、今日に至る。
柿右衛門色絵応龍文陶板 17世紀 写真提供:前坂晴天堂
本展は「タイル」という呼称統一から100年を迎えたことを記念するもの。2016年7月より東京都江戸東京博物館の館長を務め、建築史家で建築家の藤森照信氏が展覧会の監修を担当している。名称統一に至るまでに醸成されたタイル文化の変遷を辿りながら、台所、トイレや洗面所、ビルや大学、地下鉄の駅、銭湯、共同住宅の内外装など、さまざまな場・建物で使われてきた「日本のタイル100年のあゆみ」を、その時代背景とともに紹介し、美と用の間でタイルが果たしてきた役割についても振り返る。
会期中は、講演会やワークショップ、ミュージアムトークなども併催される予定(詳細が決まり次第、江戸東京たてもの園のホームページにて発表)。
同潤会江戸川アパートメント食堂壁面タイル 1934年(昭和9) 山茶窯製陶所製 東京都江戸東京博物館所蔵
展示構成
第1章 日本のタイルの源流をさぐる
第2章 タイルの普及と名称統一
第3章 美と用の100年史
なお、本展は、江戸東京たてもの園(東京都小金井市)のほか、INAXライブミュージアム(愛知県常滑市)と多治見市モザイクタイルミュージアム(岐阜県多治見市)の3館共同企画。3館を巡回し、本展にて巡回の最後を飾る。
子宝湯浴室のタイル 1929年(昭和4) 江戸東京たてもの園内
information
タイル名称統一100周年記念 江戸東京たてもの園開園30周年記念
江戸東京たてもの園 特別展「日本のタイル100年―美と用のあゆみ」
会期:2023年3月11日(土)~8月20日(日)
会場:江戸東京たてもの園(東京都小金井市桜町3-7-1 都立小金井公園内)展示室
開園時間:3月17日(金)まで 9:30-16:30、3月18日(土)から9:30-17:30
※入園は閉園の30分前まで(全日共通)
休園日:月曜 ※月曜が祝休日の場合は翌日(※3月20日、27日、4月3日、5月1日は開園)
主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 江戸東京たてもの園
企画:INAXライブミュージアム、多治見市モザイクタイルミュージアム、江戸東京たてもの園
監修:藤森照信(建築史家、建築家、東京都江戸東京博物館館長)
江戸東京たてもの園 ホームページ
https://www.tatemonoen.jp/
巡回スケジュール
・INAXライブミュージアム「土・どろんこ館」:2022年4月9日~8月30日 ※終了
・多治見市モザイクタイルミュージアム:2022年9月17日~2023年1月29日 ※終了
・江戸東京たてもの園:2023年3月11日~8月20日