京都工芸繊維大学美術工芸資料館にて、「村野藤吾と長谷川堯―その交友と対話の軌跡」が3月22日より開催されている。会期は6月10日まで。なお、同館では、同一の会期で「建築家・鬼頭梓の切り拓いた戦後図書館の地平」も開催中。
本展は、建築評論家の長谷川 堯(はせがわ たかし|1937-2019)と、建築家の村野藤吾(1891-1984年)の交流にスポットを当て、二人の間で交わされた言葉の軌跡を辿りつつ、特に長谷川ならではの眼差しと言葉を手がかりに、村野建築を紹介する。
村野は晩年、年の離れた長谷川に信頼を寄せ、親交を結んだ。たとえば、自身の対談相手として何度も指名している。長谷川は後に、日本近代建築史の再考に取り組み、2011年には『村野藤吾の建築 昭和・戦前』(鹿島出版会)を著して、建築家・村野藤吾の歴史的な評価を今日知られたものに押し上げている。
1960年に早稲田大学文学部を卒業すると同時に建築評論家としてデビューし、1972年に『神殿か獄舎か』を著して当時の建築業界に一大旋風を巻き起こすなど、気鋭の論者であった長谷川堯。日本近代建築史の第一人者という学者としての顔に加えて、1975年に『都市廻廊』で毎日出版文化賞を受賞、1979年には『建築有情』でサントリー学芸賞を受賞するなど、幅広く多彩な文筆・講演活動でも知られた長谷川が残した仕事を通して、建築を社会が共有するために必要なものとは何かを、改めて問う。
information
京都工芸繊維大学美術工芸資料館 企画展「村野藤吾と長谷川堯―その交友と対話の軌跡」
会期:2023年3月22日(水)〜6月10日(土)
会場:京都工芸繊維大学美術工芸資料館(京都府京都市左京区松ケ崎橋上町1)
休館日:日曜・祝日
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
入館料:一般200円、大学生150円、高校生以下無料
※京都工芸繊維大学の学生・教職員は学生証・職員証の提示により無料
※大学コンソーシアム京都に加盟する大学の学生は学生証の提示により入場無料
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳または被爆者健康手帳の提示で本人と付添い1名まで無料
※会場では新型コロナウイルス感染症対策を実施
主催:京都工芸繊維大学美術工芸資料館、村野藤吾の設計研究会
京都工芸繊維大学美術工芸資料館ホームページ
https://www.museum.kit.ac.jp/