大阪の高島屋史料館にて、企画展「万博と仏教 ―オリエンタリズムか、それとも祈りか?」が8月5日より開催されている。
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開催を2年後に控え、本展でスポットをあてるのは、万国博覧会にかつて日本が出展してきた仏教に関係する造形物である。
例えば、明治政府として初の公式参加となったウィーン万国博覧会(1873年)では、《鎌倉大仏頭部の張子》や《五重塔の模型》が展示され、さらに1893年のシカゴ万国博覧会では、《平等院鳳凰堂外観を模した日本館》が建設されるなど、当時の日本に対して西洋の諸外国が抱いていたイメージを踏まえ、当時の日本政府が戦略的に仏教をモチーフとして利用したことがうかがえる。
パナマ・太平洋博覧会「大仏像絵葉書」1915年、個人所蔵
時代が下り、戦後の1970年に開催された日本万国博覧会(70年大阪万博)では、その図式に変化がみられた。それまで欧米諸国で開催された万博において、仏教関連の展示物や仏教をモチーフとしたパビリオンなどがある種のオリエンタリズムを帯びていたのに対して、アジアでは初の万博開催であった70年大阪万博では、仏教発祥の地を含め信仰の一大勢力エリアであるアジア諸国から多数の来場者が訪れたこともあり、仏像や寺社建築の模型が信仰の対象・象徴としての本来のイメージを伝えるものへと正しく変容した。
本展では、万国博覧会に出展された仏教に関連する展示物を概観しながら、近代における仏教のイメージの受容とその変遷について考察を試みている。
大阪万博 日本館(日本万国博覧会公式記録映画より) 1970年、大阪府所蔵
会期中、本展監修者である君島彩子氏(宗教学者、和光大学講師)によるトークイベントを開催予定(日時など詳細が決定次第、会場ホームページにて発表あり)。
information
「万博と仏教 ―オリエンタリズムか、それとも祈りか?」展
会場:髙島屋史料館 企画展示室(大阪市浪速区日本橋3-5-25 髙島屋東別館3階)
会期:2023年8月5日(土)〜12月25日(月)
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
休館日:火・水曜
入館料:無料
問い合わせ先TEL:06-6632-9102(髙島屋史料館)
主催:髙島屋史料館TOKYO
監修:君島彩子(宗教学者、和光大学講師)
グラフィックデザイン:原田祐馬・岸木麻理子(UMA /design farm)
展示デザイン:tamari architects
本展詳細(イベント情報ほか)
https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/exhibition/
髙島屋史料館 公式ホームページ
https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/