土方久功(ひじかた・ひさかつ、1900-1977)と柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう、1922-)の作品を紹介する展覧会が、東京・世田谷の世田谷美術館にて開催されている。
土方久功は、東京美術学校(現・東京藝術大学)彫刻科を卒業後、1929年(昭和4)から1942年(昭和17)まで、当時日本の委任統治領であったパラオ諸島や、カロリン諸島中部のサタワル島で過ごし、現地の人々と生活しながら制作に励む一方で、周辺の島々を巡り、生活様式や儀礼、神話などの調査にも熱心であった。帰国後は世田谷区の自宅で、ミクロネシアの人物や風景を主題とした木彫レリーフやブロンズ彫刻、水彩画を数多く制作した。さらには民族誌学的調査の成果をまとめた著書や、詩集、絵本も出版するなど、土方が残したこれらには、南洋・ミクロネシアでの体験が生き生きと反映されている。
柚木沙弥郎は、東京帝国大学(現・東京大学)文学部美学美術史科で学んだ後、柳宗悦が提唱する「民藝」の思想と、芹沢銈介の型染カレンダーとの出会いを機に染色の道を志し、鮮やかな色彩と大胆な構図の型染による作品を発表。平面のみならず、立体や絵本も手がけ、100歳を超えた現在も精力的な創作活動を展開している。柚木もまた、渡航した際にメキシコの玩具などを目にした経験が、より自由な表現へ向かう契機となっている。
左:土方久功《マスク》1929-49年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
右:柚木沙弥郎《ならぶ人ならぶ鳥》1983年、世田谷美術館蔵
本展は、世田谷美術館の収蔵品に、作家や作家の遺族が所蔵する作品と資料を加えて構成される。パラオ諸島や周辺の島々での稀有な体験、そして日常の身近なものや出来事に潜む面白さを源泉として生まれた二人の創造の世界を紹介する。
展示構成
Part1 土方久功―パラオ諸島、サタワル島で過ごした日々への憧憬
・ブロンズ彫刻とマスク
・木彫レリーフと水彩画
・絵本の仕事と雑誌『母の友』挿絵原画
Part2 柚木沙弥郎―“自由であること” 楽しみを見つける日々の営みから生まれる創作
・型染による表現
・絵本の仕事と指人形《町の人々》
・柚木沙弥郎のアトリエから
information
「土方久功と柚木沙弥郎 熱き体験と創作の愉しみ」
会期:2023年9月9日(土)〜11月5日(日)
会場:世田谷美術館(東京都世田谷区砧公園1-2)
開館時間:10:00-18:00(最終入場17:30まで)
休館日:月曜(祝日の9月18日と10月9日を除く)、9月19日(火)、10月10日(火)
観覧料:一般 500円、65歳以上 400円、大学・高校生 400円、中・小学生 300円
※割引設定については世田谷美術館ホームページを参照
問い合わせTEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
関連イベント
アフタヌーンレクチャー「土方久功と柚木沙弥郎」
概要:担当学芸員が展覧会のみどころをわかりやすく解説
開催日:10月28日(土)
時間:14:00-14:40(両日とも)
会場:講堂
定員:140人(先着順に受付)
参加費:無料
※当日、午後1時30分より講堂前にて入場整理券を配布
※手話通訳付き
100円ワークショップ「かたちをならべて型染てさげ」
内容:好きなかたちを切り抜き、型染めの「てさげ袋」を制作する
開催日:本展会期中の毎週土曜
時間:13:00-15:00
会場:地下 創作室
定員:10グループまで(1グループ最大30名)
参加費:ひとつにつき100円
※予約不要、随時受付
企画・運営:世田谷美術館鑑賞リーダー(美術館ボランティア)
世田谷美術館ホームページ
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/
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info[@]confortmag.net
応募締切:2023年9月30日(土)
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