TOTOギャラリー・間「能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築」

東京・乃木坂のTOTOギャラリー・間にて、「能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築」が3月24日まで開催されている。

TOTOギャラリー・間「能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築」会場風景
GALLERY 1 会場風景

TOTOギャラリー・間「能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築」会場風景
GALLERY 2でのフォトセッションに応じる常山未央氏(左)と能作文徳氏(右)

能作、常山の両氏は、建築設計や論考執筆に加え、国内外の大学を拠点に、建築と都市と生態系の関係性リサーチを続けてきた建築家。私生活ではパートナーでもある。
二人の自宅兼事務所である《西大井のあな》は、1986年竣工の4階建ての鉄骨造の中古住宅を2017年に購入したあと、断熱を主軸とした改修が現在も続けられている。名称にある「あな」とは、2階・3階・4階の床スラブにあけられた孔(あな)を指し(注.1階床スラブにも半地下室に続く開口あり)、この複数の縦方向の「あな」によって、建物内に光を通し、空気と熱を循環させている。また、コンクリートで覆われていた外構の一部をはつり、コンポストを入れるなどの土中改善や植栽も自分たちで行なっている。住まいの快適性能を上げながら、環境負荷を減らす試みも並行して行われている二人の拠点《西大井のあな》は、他所の土地でのプロジェクトで得た知見を実験し、次のプロジェクトへと展開させようとする実践の場でもある。


左:〈⻄⼤井のあな〉内観 吹き抜け ©Jumpei Suzuki 東京都 2017年〜(2021年撮影)
右:〈⻄⼤井のあな〉外観 ©Jumpei Suzuki 東京都 2017年〜(2021年撮影)

両氏のエコロジカルでサステナブルな考え方は、本展の展示にも反映されており、会期終了後に発生する産廃ごみを極力なくす方針のもと構成されている。展示品の多くは再利用を前提につくられ、その材も廃材や端材が中心。本展のためのモックアップや、最新作を含む《秋谷の木組(秋谷スマートハウスE棟)》などこれまでのプロジェクトの模型の展示では、ベタ基礎のコンクリートを打設しない石場建てや木組(きぐみ)などの日本の伝統的な工法のほか、藁や土壁といった循環可能な自然素材を彼らが積極的に取り入れていることが窺い知れる。能作、常山の両氏は、都市を「人間の手が入った多様な生物が暮らす居住域」と捉え、さまざまな課題を抱える現代の都市の一部を分解し、その養分を吸収し、菌(きのこ)のように成長する、腐敗と再生の網目の結節点として建築を位置付けている。本展は、そのさまざまな取り組みを最新事例も含めて紹介するもので、タイトルは「都市菌(としきのこ)」と名付けられた。

TOTOギャラリー・間「能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築」会場風景
中庭 展示風景

会場風景3点 Photo: Naoko Endo

会場では会期中、参加無料・予約不要のギャラリーツアーも開催(開催日時など詳細はTOTOギャラリー・間ウェブサイトに掲載)。

information

「能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)― 複数種の網目としての建築」
会期:2024年1月18日(木)~2024年3月24日(日)
開館時間:11:00-18:00 ※ナイトツアー開催日の3月8日(金)と3月22日(近)は20:00まで開館
会場:TOTOギャラリー・間(東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F)
休館日:月曜・祝日
入場料:無料
主催:TOTOギャラリー・間


都市菌(としきのこ)ダイアグラムを表現した展覧会ポスター ©能作文徳+常山未央

TOTOギャラリー・間 ホームページ
https://jp.toto.com/gallerma/

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