明石市立文化博物館「東二見 横河家の功績-大坂の陣から近代建築まで-」

兵庫県明石市の明石市立文化博物館にて、企画展「東二見 横河家の功績-大坂の陣から近代建築まで-」が6月1日より開催されている。

企画展「東二見 横河家の功績-大坂の陣から近代建築まで-」

本展タイトルにある東二見(ひがしふたみ)とは、本展で展示される貴重な資料を寄贈した横河家が室町時代から拠点をおいていたとされる、播磨灘に面した土地。横河家は、戦国期に隆盛してこの地方を治めた池田氏を主君とする横河重陳(よこがわ しげのぶ|1586-1649)が大坂冬の陣(1614年)で武勲をあげ、その子孫は鳥取にて代々続く。その一方で、東二見に残った横河家の一族からは医師(蘭方医)や学者を輩出。なかでも著名なのが、本展のフライヤーにも肖像画が用いられている、日本近代を代表する実業家のひとりで優れた美術収集家でもあった横河民輔(よこがわ たみすけ|1864-1945年)である。民輔は帝国大学(現・東京大学)で建築を学んだのち、日本橋に横河建築事務所を開設。のちの横河グループに発展する横河工務所(1903年創業、現・横河建築設計事務所)、横河橋梁製作所(1907年創業、現・横河ブリッジ)、電気計器研究所(1915年創業、現・横河電機)などを次々と興し、日本の建築・工業界に大きく貢献した。建築家としての民輔は、旧帝国劇場、三越呉服店(現・日本橋三越本店)、日本工業倶楽部(現在は一部を免震改修して保存、一部を保存再生)、東京株式取引所本館(現・東京証券取引所)などを手がけ、大正期には日本建築学会の会長も務めている。なお、建築家の横河 健(よこがわ けん|1948-)は民輔の孫にあたる。

 

企画展「東二見 横河家の功績-大坂の陣から近代建築まで-」

三越呉服店(東京都立中央図書館アーカイブ:大東京:最新撮影原色版より)

本展は、東二見の横河家から寄贈された資料を中心に、戦国時代末期から明治・大正にかけての横河家の人々の活動の軌跡を紹介するもの。会期中は、講演会や貴重な文献を読み解く講座、展示解説も行われる(参加方法など詳細は明石市立文化博物館ホームページを参照)。

展示構成
序章 横河家のはじまり
第1章 横河重陳(しげのぶ)と鳥取藩士横河家
第2章 東二見室谷(横河)家の人々
第3章 横河秋濤(しゅうとう)
第4章 森寺家との縁戚関係と公家社会への接近
第5章 秋濤を受け継いだ子孫

主な展示資料:徳川家康・池田忠長・良正院感状(明石市指定文化財・明石市蔵)/ 池田輝政書状(明石市蔵)/ 池田忠雄(忠長)画像(鳥取県立博物館蔵)/ 三条実美和歌短冊(明石市蔵)/ 横河家系譜(明石市蔵)

企画展「東二見 横河家の功績-大坂の陣から近代建築まで-」
池田輝政書状(明石市立文化博物館蔵)

企画展「東二見 横河家の功績-大坂の陣から近代建築まで-」
三条実美短冊(明石市立文化博物館蔵) 蘭方医で漢詩人の横河秋濤(1822-1885年)の親族が拝領したもの

information

企画展「東二見 横河家の功績-大坂の陣から近代建築まで-」
会期:2024年6月1日(土)~30日(日)
開館時間:9:30-17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜
会場:明石市立文化博物館 特別展示室 1階(兵庫県明石市上ノ丸2丁目13番1号)
電話番号:078-918-5400
主催:明石市、明石市立文化博物館、神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター
後援:公益財団法人兵庫県芸術文化協会、公益財団法人明石文化国際創生財団、一般財団法人兵庫県学校厚生会
観覧料:大人200円(65歳以上は半額、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・ミライロID手帳の提示で本人および介護者1名まで半額)、大高生150円、中学生以下無料、シニアいきいきパスポートの提示で本人無料

関連イベント

古文書講座「横河家の古文書を読みませんか」
講師:明石市立文化博物館 学芸員
日時:6月15日(土)13:30-15:00
会場:同館2階大会議室
定員:60名
参加方法:6月14日(金)17:00までに要申込(定員に達し次第、受付終了)
料金:無料

展示解説
日時:6月9日、15日を除く毎週土・日曜 10:30-11:30 / 13:30-14:30
会場:同館1階特別展示室
参加方法:事前申込不要
料金:無料(ただし、本展の観覧料要)

明石市立文化博物館ホームページ
https://www.akashibunpaku.com/

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