「シェア」の思想/または愛と制度と空間の関係
飯尾次郎、出原日向子企画・編集・制作 LIXIL出版刊 本体2,600円
今や建築分野でも定着した「シェア」という言葉。その意味を巡って、1964年生まれの建築家・西沢大良のインタビューに始まり、それより若い世代の建築家、哲学者などがそれぞれの立場から掘り下げた本。概念的な言葉が多いので、最初はスッと入ってこないかもしれないが、シェアは空間の有効利用ではなく、「共同利用者同士の“出会い方”のデザイン」であり、「人間同士の関係性からモノや環境まで拡張した全体性の構築」なのだ。建築家・中川エリカの「シェアという“あつまり方”」は楽しく、建築家・橋本健史の「材料転用」「既存読替」「新旧仕上」などには新しい発見がある。