家具としての収納には、単なる機能だけでなく、暮らしを映す鏡のような役割もある。何を置いて、どう飾るかという、持ち主の美意識が素直に現れるのがシェルフだと言えるだろう。北海道・旭川を拠点とするカンディハウスが、シンガポール出身のプロダクトデザイナー、ガブリエル・タン氏との初めての共同開発で生み出した新作シェルフ「タンカ」は、そうした問いに丁寧に向き合っている。無駄を削ぎ落としたデザインがモチーフにしているのは、ハードカバーの本だ。前面のエッジは本の小口に倣ったシャープなラインで、背面では背表紙の丸みを表現。光と影が複雑に交わった陰影が美しく、シェルフとして静かな存在感が漂う。

端正な表情を持つシェルフとして、家族が積み重ねる時間を静かに見つめる。

幅3種類のサイズ、高さ4種類のサイズでラインナップし、並べて設置すればより大きな空間に使用できる。

異なるサイズ同士を合わせて個性を表現するなど、柔軟なアレンジも可能。

強度と防汚性に優れた乾式ボード「Texage‐B」を仕上げ材として採用可能。
その姿は、「主張しすぎない個性」を意識したというタン氏のデザインの魅力が詰まっている。棚板は四辺すべての木口に付け木を貼り合わせることで、まるで無垢の一枚板のような表情を再現。仕切り板は並べた本に溶け込む形状になっていて、縦横の組み合わせによってさまざまな飾り方が楽しめる設計になっているのも面白い。タンカの名称は、独特のリズムを持つ「短歌」や、タン氏の姓と日本語の「架(棚の意味)」を組み合わせた響きに由来し、重層的な思想を表しているという。高さや長さ違いを追加しても一体化するモジュール式の設計など、多様な使い方で暮らしに寄り添うタンカは、今後ますます注目されるだろう。
株式会社カンディハウス
TEL.0166-47-9967
condehouse.co.jp
コンフォルト2026年8月号No.210より
