タイルを見る「京都」まちあるき

2015年6月号の特集「タイル、この愛しきもの」で、「タイルの細道」という記事をお願いした岡崎紀子(みちこ)さん。その岡崎さん企画の「I  LOVE タイル—-タイルがつなぐ街角」という展覧会が、常滑のINAXライブミュージアム「世界のタイル博物館」で開かれています。

12月19日(土)にはその関連企画として「タイル街歩き その1 京都」が行われ、参加者は京都・三条駅に集合し、修復建築家の円満字洋介さんの案内で、タイルを見て歩きました。ハンチングをかぶっていらっしゃるのが建築探偵エンマンジ先生。もちろん岡崎さんも一緒です。

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最初に向かったのが先斗町の歌舞練場でした。鴨川越しに外観を拝見し、先斗町へまわって入り口付近を見ると、おお、たしかに素晴らしいタイルが張ってあります。劇場建築を得意とした大林組の木村得三郎の設計、設計顧問は武田五一だそう。円満字さんの解説は、優しくおもしろく、ずっと聞いていたくなります。「私もいろいろ考えてみたんですが・・」と私見を述べられるときの口調に、古い建物やタイルが好きだという気持ちが伝わってきました。このあたりは鴨川と高瀬川に挟まれているので、皮と皮に挟まれているなら「鼓(つづみ)」だから、叩けば「ぽん」となるだろう、というので「先斗(ぽんと)町」という名前になったとかならないとか・・という話も、メモメモ。

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なまこ壁の蔵を模したのではという斜めのボーダーに囲まれているのは「宝相華(ほうそうげ)文」のタイル。近くには釘の頭で掻いたというスクラッチタイルが。なんという存在感。手の跡を感じる仕事はいいですね。しかし、先斗町って昼間歩くことはめったにないので、こんな建物が並んでいたんだなーとキョロキョロしてしまいます。

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とここで、実はカメラの電池が突然切れ、なんと以降の写真がありません(芸妓さんや「昼酒」の看板なんて撮ってたからでしょうか)。

かいつまんでその後のコースをお話すると、先斗町でいくつかの建物を見て、旧立誠小学校1928へ、河原町通り、裏寺通り、新京極通りをわたって、寺町通りを御池通り方向に北上。その間、「え、こんなところにこんな美しいタイルが?」「そうそう、小学校って、こんなタイルだったよ」と膝を打つような、タイルの珠玉物件を円満字さんが紹介してくださいました。そして旧毎日新聞社の床タイルを見、新風館に着いて、解散となりました。2時間半のコースでしたが、INAXのタイルのプロの方のコメントも挟み、あっという間でした。その後も少し京都の町を散策してみると、なんだかこれまでよりタイルが目についてきます。見方に気づくと見えるようになるものなんですね。

2016年2月20日(土)には「タイル街歩き そのⅡ  常滑」が開催されます。今度のナビゲーターは常滑をくまなく知る、ライブミュージアムの磯村さん。世界のタイル博物館はもちろん、常滑陶の森 陶芸研究所(堀口 捨己1961)なども見どころだそう。定員まであとわずからしいので、関心のある方は、ぜひお早めにご予約ください。

円満字洋介さんの著書「京都まち遺産探偵」もおすすめです。          (編集部 豊永)

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