1995年にスタートしたライフスタイル、インテリアデコレーション、デザインと いった業界関係者が一堂に会する国際的な展示会「メゾン・エ・オブジェ・パリ」。年に2回、1月と9月に開催されており、このたび2020年1月展(1/17〜21)のインスピレーションテーマが発表された。
「(リ)ジェネレーション」。ライフスタイルに新しい価値が生まれている世代に向けて
「(リ)ジェネレーション」。2020年1月展・9月展、2回のセッションを通じてこのテーマを設定している。1月展では「コミットする世代」と称し、経済、環境、アイデンティティ、移住など様々な問題を抱える世界で育った、 このジェネレーション特有の人々の要望や期待を解読する。
「様々な危機に直面する中で、20代、30代は世界を 変えるために結束したいと考えています。かのグレタ・トゥーンベリのように、彼らはそのために自らコ ミットすることを躊躇しません。世の中への関心が非常に高いこの世代により、ライフスタイルに新しい価値が生まれています」と、ネリーロディ社のトレンドセッターであるヴァンサン・グレゴワールは解説している。情報に通じた消費者は、大地への回帰、ヴィーガンフレンドリーな素材への関心が高く、家の中に自然を取り入れる事を求めているのだ。彼らは、自信の倫理観に基づき、フェアで責任感のある、高潔な消費を推奨している。
さらに、9月展では「拡大する世代」と称し、インターネット やソーシャルネットワークの世界に浸る、未来を担っていくジェネレーションが求めている事にフォーカスする予定だ。このようにしてミレニアル世代によって急激にもたらされた、まさに再生 (リジェネレーション)と呼ぶにふさわしい、新たな消費動向を読み解いていくという。
今回のデザイナー・オブ・ザ・イヤーは、マイケル・アナスタシアデスに
1月展でもう1つ注目したいのが、デザイナー・オブ・ザ・イヤーの展示。マイケル・アナスタシアデスが2007年に自身のブランドを立ち上げた際に作品を出展したメゾン・エ・オブ ジェへ、デザイナー・オブ・ザ・イヤーとして戻ってくるのだ。ブランドを立ち上げてから今日までの間に、現在活躍する照明デザイナーの中でもポエティックな世界観を特徴とする作品を最も多く生み出すデザイナーへと進化した。
キプロス出身のマイケル・アナスタシアデスは、球面、 直線、円といったシンプルな形とボリュームを用いることで生まれる、不確実性と不均衡が共存した豊かな表現を作品へ取り入れている。彼のデザインの 幻想的なシンプルさは熱意の賜物であり、簡単に成し得るものではない。ヒトとモノの相互作用を生むために存在するのが彼にとってのデザイナーという考え方なのだ。
メゾン・エ・オブジェ・パリの展示では、彼の作品である16個のモビール・シャンデリア (Mobile Chandelier)のすべてが初めて一堂に会する。モーターを動力とする照明が暗い空間の中でまるで惑星のように動く様子は、ここでしか体験できないスペシャルなものになるだろう。