愛知県常滑市のINAXライブミュージアム(運営:LIXIL)にて約1年ぶりに開催される企画展。監修に、東京2020オリンピック・パラリンピックのエンブレムに採用された〈組市松紋〉をデザインしたことで知られる美術家の野老朝雄と、建築・デザイン事務所のnoizを迎える。
両者による企画展は、2020年8月から9月にかけてオンラインで開催された「CONNECT/DISCONNECT | Asao TOKOLO × noiz」に続く第2弾。昨年のオンライン展でのタイトルは、紋様の創作を通して多種多様な関係性を築こうとする野老のテーマ「つなげる」から名づけられたが、その7ヶ月後に開催される本展では、タイトルを前後で入れ替え、コロナ禍で一旦は途切れたものを再び「つなげる」ことを意図している。
土とやきものの魅力を伝える「土・どろんこ館」を会場に、タイルを主とする野老作品を展示し、音楽と光も織り交ぜた、noizが得意とするコンピュテーショナル・デザインとのコラボレーションを実空間で展開する。
RHOMBUS WORKS【JAGGED】 野老朝雄、2020、タイル、φ770mm
撮影:梶原敏英
本展は、大きく2つのゾーンに3つの作品を展示。いずれの作品にも、野老がデザインし、現地のLIXILものづくり工房で制作したタイルが使用されている。
最初のゾーンは、瑠璃色の菱形タイルで構成される作品《RHOMBUS WORKS【JAGGED】》と、同作品を囲むようにして、野老氏がデザインした白と濃紺の紋様《INTERTWINED》を焼き付けたタイルのパネル10基が展示される。
《RHOMBUS WORKS【JAGGED】》は、ゆっくりと回転する展示台に円形に配置され、スポット照明があてられている。使われた釉薬は1種類だけだが、鋳込み成形による表面の形状は、凹凸にあたる光の角度によって白っぽく見えたり青みが増したりと、その表情を美しく変化させる。
会場風景
撮影:河合秀尚
10基のタイルパネルは、50ミリ・100ミリ・200ミリ角のタイルに野老紋様《INTERTWINED》を焼き付けた作品群。紋様が途切れることなく連続するさま、組み合わせによって途切れるさまなど、本展のテーマであるタイリング(平面充填)の妙を味わえる作品となっている。
第2ゾーンで展示される作品は、立体作品の《STEPS》。1辺400ミリのキューブを積み上げたピラミッド状の構造物が2つ。1つは200ミリ角の紋様タイル、もう1つは柄なし・白いタイルでピラミッドを組み、対をなすようにして配置されている。
《
STEPS
》 パターンデザイン:野老朝雄、
造形デザイン:野老朝雄、noiz
本展会場イメージより(提供:noiz
)
無地の白タイルで組んだタワーでは、キューブの面に合わせたプロジェクションマッピングで《INTERTWINED》を含めた野老紋様が映写される。タイルをスクリーンとした本作品は、紋様が蠢くような動態と、磁器タイルじたいがまるで発光しているかのような視覚効果をあげており、タイルを使った新しい表現方法を切り拓いている。映像と呼応する音楽とともに、視覚と聴覚で鑑賞する、本展ならではのプレゼンテーションとなっている。
information
「DISCONNECT/CONNECT 【ASAO TOKOLO×NOIZ】
幾何学紋様の律動、タイリングの宇宙」
会期:2021月4月24日(土)~2021年10月12日(火)
会場:INAXライブミュージアム「土・どろんこ館」企画展示室(愛知県常滑市奥栄町1-130)
休館日:水曜(祝日の場合は開館)
観覧料:ミュージアム共通入館料にて観覧可(一般:700円、高・大学生:500円、小・中学生:250円)
※新型コロナウイルス感染症対策を実施、スケジュールが変更される場合あり
監修:野老朝雄、noiz
紋様制作:野老朝雄
展示デザイン:noiz(豊田啓介、田頭宏造、近藤有希子)
ヴィジュアルプログラミング:白木 良
音楽:原 摩利彦
グラフィック:小木央理
タイル制作:LIXILものづくり工房
協力:ニチレイマグネット株式会社
主催:INAXライブミュージアム
会場ホームページ:https://livingculture.lixil.com/ilm/