建築家・吉阪隆正(よしざか たかまさ / 1917-1980)の展覧会が、東京都現代美術館にて6月19日まで開催される。
《ヴェネチア・ビエンナーレ日本館》1956年(撮影:北田英治、1997年)
吉阪は戦後復興期から1980年まで活躍した建築家。「考現学」の創始者として知られる今 和次郎や、近代建築の世界的な巨匠ル・コルビュジエに師事し、人工土地[※]の上に住む住宅《吉阪自邸》、文部大臣芸術選奨(美術)を受賞した《ヴェネチア・ビエンナーレ日本館》、日本建築学会賞を受賞した《アテネ・フランセ》、東京都選定歴史的建造物に指定された 《大学セミナー・ハウス 本館》などを手掛け、コンクリートによる彫塑的な造形を持った独特の建築で知られている。
※戦後の住宅難解消のため、吉阪は「住むためにすべてが準備されている大地を人工の力でつくる」ことを提唱し、それを人工土地と呼称した
“建築というものは、世界で相互理解するための一つの手がかりではないだろうか” ―吉阪隆正の講演より
その一方で吉阪は、建築だけにはおさまらない領域横断的な活動にも取り組み、地球を駆け巡ったその行動力から、建築界随一のコスモポリタンと評されてきた。本展のサブタイトルにある「ひげから地球へ、パノラみる」は、吉阪による造語を組み合わせたもので、地域や時代を超えて見渡すことなどを意味する“パノラみる”と、自身の表象であり、等身大のスケールとしての“ひげ”、そして個から地球規模への活動の広がり、という意味が込められている。
《大学セミナー・ハウス 本館》1965年(撮影:北田英治、1997年)
本展は、建築家、教育者、登山家、冒険家、文明批評家といった多彩な顔を持つ、吉阪隆正の多領域にわたる活動の全体を紹介し、知られざる人物像に迫ることを試みる。「吉阪隆正+U研究室」による住宅建築、公共建築、山岳建築のほか、「早稲田大学吉阪研究室」による地域計画のプロジェクトにもスポットがあてられる。スケッチの名手であった吉阪が残したノート、原稿、書類、写真など、吉阪の創造の源泉となる資料も多数展示される。公立美術館では初となる吉阪の展覧会。
展覧会構成
第1章:出発点 / 第2章:ある住居 / 第3章:建築の発想 / 第4章:山岳・雪氷・建築 / 第5章:原始境から文明境へ / 第6章:あそびのすすめ / 第7章:有形学へ
information
「吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる」
会期:2022年3月19日(土)〜6月19日(日)
休館日:月曜
開館時間:10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
観覧料:一般 1,400円、大学生・専門学校生・65歳以上 1,000円、中高生500円、小学生以下無料
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1階(東京都江東区三好4-1-1)
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
企画協力:アルキテクト、北田写真事務所
特別協力:文化庁 国立近現代建築資料館
協力:公益財団法人大学セミナーハウス、公益社団法人日本雪氷学会、ル・コルビュジエ財団、早稲田大学建築学教室本庄アーカイブズ
後援:稲門建築会、一般社団法人DOCOMOMO Japan、一般社団法人日本建築学会、公益社団法人日本建築家協会
※スケジュールは諸事情により変更となる場合あり(東京都現代美術館ホームページにて随時発表)
東京都現代美術館ホームページ
https://www.mot-art-museum.jp/
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応募締切:2022年4月18日(月)
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