ドキュメント、人物、古美術、建築、風景、そのいずれにも忘れがたい作品を残し、日本の写真史に巨歩を記した土門拳。ライフワーク『古寺巡礼』の第一集が刊行されたのは1963年のこと、今年で60年を迎える。
『土門拳の古寺巡礼』表紙（クレヴィス刊）
戦前から仏像行脚を続けた土門は、自らの眼で選んだ古寺や仏像を徹底して凝視し、撮影。建築の細部や仏像の手や足、口などをクローズアップで捉える独自のスタイルを貫いた。『古寺巡礼』の刊行途上に脳出血で倒れ、車椅子生活になってからも不屈の精神で撮影を続行し、1975年に第五集で完結した。
飛鳥寺金堂 釈迦如来坐像面相詳細
唐招提寺金堂 千手観音立像左脇千手詳細
本展は、『古寺巡礼』シリーズにおけるカラーの代表作と、土門を魅了した室生寺の釈迦如来坐像をはじめとする重量感のある平安初期の木彫仏を中心に、モノクロームの仏像写真など、カラーとモノクロ写真あわせて約120点を展示するほか、関連する資料や映像も公開される。
室生寺金堂 十二神将立像（左から巳神、未神、申神、辰神）
土門 拳（どもん・けん）プロフィール
1909年山形県酒田市生まれ。1935年に日本のグラフ・ジャーナリズムを切り拓いた「日本工房」に入って以来、脳血栓で倒れる1979年までの足かけ45年にわたり、「報道写真家」として激動の日本を記録。『文楽』『ヒロシマ』『筑豊のこどもたち』『風貌』『古寺巡礼』など不朽の名作を数多く残す。1939年に室生寺を訪れて以来、戦中も全国を巡り仏像を撮影。1960年に脳出血で倒れて35ミリカメラの操作が困難となり、大型カメラで『古寺巡礼』（全5集）の撮影に取り組んだ。
室生寺弥勒堂 釈迦如来坐像左半面相
information
「土門拳の古寺巡礼」
会期：2023年3月18日（土）〜5月14日（日）
会場：東京都写真美術館 地下1階展示室（東京都目黒区三田1丁目13-3 恵比寿ガーデンプレイス内）
開館時間：10:00-18:00（木・金曜は20:00まで、入館は各日とも閉館30分前まで）
休館日：月曜（5月1日を除く）
観覧料金：一般 1,100円、学生・65歳以上 900円、中高生 700円
※入場は、会場ホームページ・オンラインによる日時指定予約を推奨
主催：クレヴィス
共催：公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館
協力：公益財団法人さかた文化財団 土門拳記念館
展覧会詳細
http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4317.html
関連イベント
記念講演会 土門の撮影助手・藤森武が語る「土門拳と古寺巡礼」
日時：2023年4月15日（土）14:00-15:30（開場13:30）
講師（敬称略）：藤森武（写真家、土門拳記念館学芸担当理事）
特別対談 内弟子が語る「古寺巡礼」
日時：2023年5月6日（土）14:00-15:30（開場13:30）
講師（敬称略）：藤森武（同上）、堤勝雄（写真家）
モデレーター（敬称略）：田中耕太郎（土門拳記念館学芸員）
会場（共通）：東京都写真美術館 1Fホール
定員（共通）：180名
料金（共通）：無料（但し、入場時に「土門拳の古寺巡礼」展の半券の提示が必要）
参加方法（共通）：当日10:00より1階総合受付にて整理券を配布（番号順に入場、全席自由）
東京都写真美術館 ホームページ
www.topmuseum.jp
クレヴィス ホームページ
https://crevis.co.jp/
