香川県高松市の四国村ギャラリー[*]にて、写真家の新津保建秀(しんつぼ けんしゅう)の展覧会が11月18日より開催されている。
本展では、新津保が撮影した和三盆づくりの民具の写真とともに、民具の実物をあわせて展示しているほか、本展のために新津保が撮り下ろした新作も披露されている。
会場風景(撮影:新津保建秀)
本展開催の背景
讃岐・香川県では江戸時代中頃に砂糖づくりが始まり、讃岐三白(さぬきさんぱく)と呼ばれる砂糖・塩・綿の生産が盛んであった。和三盆糖は今では讃岐の特産となっている。四国村ミウゼアムに移築された2棟の「砂糖しめ小屋」と、そこで搾汁したサトウキビの汁を煮詰める「釜屋」は、地域に根ざした伝統産業を今に伝える貴重な遺構であり、四国村ミウゼアムが収蔵する砂糖製造に関する用具(合計937点)は、国の重要有形文化財にも指定されている。
本展で展示されている新津保建秀の写真作品は、これらを数年前から撮影してきたもの(新作を含む、写真19点、映像1点)。会場では、重要有形文化財の民具13点と、写真に流れる時間に現代の側から呼応するように、本展でアートディレクターを務めた服部一成のグラフィック作品3点が配置されている(会場構成:中原崇志 / 企画編集:上條桂子)。
会場風景(撮影:新津保建秀)
新津保建秀(しんつぼ けんしゅう)プロフィール
1968生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科油画修了。写真、ドローイング、映像などによる作品を手がける。
主な作品集に『Rugged Time Scape』(共作、FOIL、2010年)、『Spring Ephemeral』(FOIL、2011年)、『\風景』(角川書店、2012年)など。
建築家の槙文彦の設計で知られる東京・代官山のヒルサイドテラスをとらえた『Hillside Terrace 1969-2019』(現代企画室、2019)、隈研吾が設計した東京での建築作品をまとめた『TOKYO東京』(KADOKAWA、2020年)などの撮影を担当している。
近年の展覧会に「八甲田大学校」(国際芸術センター青森、2022年)、「消え入りそうなほど、細かくて微妙な」(ミズマアートギャラリー、2023年)などがある。
information
「時のてざわり Grains of Time in Mind」写真・新津保建秀
会期:2023年11月18日(土)~2024年2月25日(日)
開館時刻:9:30-16:30
休館日:火曜(2024年1月2日を除く)
会場:四国村ギャラリー(香川県高松市屋島中町91)
観覧料(四国村ミウゼアム入村料共通):大人1,600円、大学生1,000円、高校生・中学生600円、小学生以下無料
*障がい者割引あり(手帳の提示で本人と付添介護者1名まで半額)
後援:香川県、高松市
問合せ先:TEL.087-843-3111
主催:公益財団法人四国民家博物館(四国村ミウゼアム)
[*] 四国村ギャラリーは、四国四県から33棟の建物を移築・復元した野外博物館・四国村ミウゼアムの敷地内にある展示施設。四国村創設者で高松市出身の実業家、加藤達雄が収集した美術品を展示する美術館として、建築家の安藤忠雄が設計し、2002年に開館した。
四国村 ホームページ
https://www.shikokumura.or.jp/