「建築家・吉村順三の眼(まなざし)—アメリカと日本—」展

東京・竹中工務店東京本店1FのGALLERY A4(ギャラリー エー クワッド)にて「建築家・吉村順三の眼 —アメリカと日本—」展が開催されている。

吉村順三(1908-1997)は、東京美術学校(現・東京藝術大学)で建築を学び、卒業後は米国(アメリカ)の建築家、アントニン・レーモンド(1888-1976)に師事。帰国後の1941年に吉村順三設計事務所を開設して、住宅から公共建築の設計まで幅広く手がけたほか、皇居新宮殿の建設に関わったことでも知られる。

「建築家・吉村順三の眼(まなざし)—アメリカと日本—」展
ジャパン・ソサエティー(ニューヨーク、1971年) 所蔵:Japan Society

吉村は、第二次世界大戦をはさんで日本とアメリカを行き来し、日本の建築文化をアメリカに伝えた建築家でもある。開戦前の1940年にペンシルベニア州ニューホープに帰国していたレーモンドに招かれた吉村は、それから約14カ月間をアントニン&ノエミ・レーモンド(夫妻)とともに暮らし、コロニアル建築の素朴な空間や、ニューヨークの摩天楼などをその身をもって経験する。そのときの体験は、日本建築の伝統の中に潜む近代建築の要素を吉村が再発見するきっかけとなった。

戦後、吉村はアメリカで経験したモダンライフを日本の建築に取り込むとともに、日本の感性や思想を、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の中庭に建設した〈松風荘〉をはじめ、モテル・オン・ザ・マウンテンなどの作品を通じてアメリカに紹介し、話題となる。

「建築家・吉村順三の眼(まなざし)—アメリカと日本—」展
ソルフェージスクール(2023年) 撮影:市川靖史

本展は、吉村がアメリカで設計を担当した作品から、国際的に活躍する芸術家らとの交流から生まれた日本での作品まで、スケッチや写真、映像などを交えて紹介し、その業績に改めてスポットをあてる。また、妻であるバイオリニストの大村多喜子のソルフェージスクールでの活動とその理念を、吉村が建築とデザイン(教材、ポスターなど)で支えたエピソードにも触れ、吉村順三の娘である吉村隆子をはじめとする関係者へのインタビュー映像も会場にて上映される。

「建築家・吉村順三の眼(まなざし)—アメリカと日本—」展
園田高弘邸(現・伊藤邸)2023年 撮影:市川靖史

information

展覧会「建築家・吉村順三の眼 —アメリカと日本—」
会場:GALLERY A4(ギャラリー エー クワッド)
所在地:東京都江東区新砂1-1-1
会期:2023年12月22日(金)~2024年3月28日(木)
開場時間:10:00-18:00(土曜、最終日は17:00まで)
休館日:日曜・祝日、12月28日(木)~1月4日(木)
入場料:無料
主催:公益財団法人ギャラリー エー クワッド
特別協力:吉村隆子(公益財団法人ソルフェージスクール理事長)
監修:松隈 洋(神奈川大学教授、京都工芸繊維大学名誉教授)
協力:吉村順三記念ギャラリー、吉村設計事務所、神奈川大学建築学部、レーモンド・ファーム・センター、レーモンド設計事務所、米国議会図書館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、高知県立美術館 石元泰博フォトセンター、Japan Society、ニューヨーク近代美術館、ペンシルベニア大学アーカイブ、北澤建築設計事務所、一般社団法人住宅遺産トラスト、公益財団法人ソルフェージスクール、隈研吾建築都市設計事務所、青山タワービル、八ヶ岳高原音楽堂、公益財団法人国際文化会館、一般財団法人脇田美術館

※会期中、研究者・関係者らが登壇するシンポジウムを計3回開催(竹中工務店東京本店2階での第一回は定員に達したため受付終了)、いずれの回も後日にオンラインにて配信を予定

「建築家・吉村順三の眼(まなざし)—アメリカと日本—」展

GALLERY A4(ギャラリー エー クワッド)ホームページ
https://www.a-quad.jp/exhibition/exhibition.html

※本稿 敬称略

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