地球の深淵に触れる

5月31日に『素材・建材ハンドブック』が発刊されました。その編集作業のなかで、「あぁ、こういうことだったのか」と得心したのは、結晶粒を調べていたときでした。ふだん家で使っている真鍮のお皿はモワモワとした模様があって、焼き上がったなんちゃってスペインオムレツを載せると、卵の焼色とあまりにもシンクロしていて、「皿選びを失敗したー」と思っていたのですが、あの模様って結晶粒だったんだ! と気づいたのです。

金属は本来立方体の結晶だけれど、実際には整然とは並んでいなくて、高温の熱を加えて急激に冷やす焼きなましや焼き入れで結晶が浮かび上がってくるのです。その不定形な結晶の集合が例のモワモワでした。

槌目も影響しているのかもしれませんが……)

真鍮の皿と卵の焼色が見事にシンクロ!

とはいえ、編集作業は暗中模索でもありました。ひとつ調べてちょっとわかったかも! と思っても、またハテナ? という用語が出てきて、それを調べないと前に進まない。金属やガラスは鉱物から成っていて、その源は地球。でも地球というマトリョーショカは、開いても開いても果てしない。だけれどもひとつ知ることで、たしかに次につながる。深く掘ることの楽しさを知る機会でした(無知の知でもある)。

 

話は変わりますが、今日内覧会に伺った美濃土の魅力を発信する展示「MINO SOIL」(441 東京都渋谷区神宮前5-12-1 〜6月13日 https://minosoil.jp/ja/)でも、地球の深淵に触れました。

詳細は次号(180号)でレビューしますので、乞うご期待!

 

木も土も、金属も、人びとの暮らしは、地球から生まれてきたものに支えられているのだな、とあらためて感じ入りました。地球の営みはなんと人智を超えたものであるのか。

 

ぜひ『素材・建材ハンドブック』をお手にとってみてください。そして「MINO SOIL」の展示にも足をお運びください。地球を知る歓びに出会えるかもしれません。

 

(編集部/阪口公子)

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