昨年2月に大阪・御堂筋に開業した《ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋》の5階に、アートスペース「エスパス ルイ・ヴィトン大阪」がこのほどオープンした。
オープニングを飾る展覧会「Fragments of a landscape(ある風景の断片)」では、アメリカを代表する2人のアーティスト、1950年代に画家としての活動をスタートさせ、第二次大戦後の抽象表現主義の旗手となったジョアン・ミッチェル(Joan Mitchell)と、1970年代初めにミニマル・アート運動を牽引した彫刻家カール・アンドレ(Carl Andre)を紹介する。
Exhibition view at Espace Louis Vuitton Osaka, 2021
Photo credits: © Keizo Kioku / Louis Vuitton
建設関係者が多い環境で生まれ育ったカール・アンドレ(1935年-)は、基礎的な素材を好んで扱い、彼の前の世代が実践していた抽象表現主義への反応の表れとも言える。
今回展示される作品《Draco》は、ウェスタンレッドシダー(ベイスギ)の材木を、ウェスタンレッドシダー(ベイスギ)のパーツ31個から成り、展示空間の構造を強調することを意図して、敢えて、来場者の動きを妨げるように展示室の中央に設置されている。
Exhibition view at Espace Louis Vuitton Osaka, 2021
Photo credits: © Keizo Kioku / Louis Vuitton
1925年にシカゴで生まれたジョアン・ミッチェル(1925-1992)は、アメリカの抽象表現主義の潮流に身を投じた数少ない女性の1人。1959年からはフランスに居を移し、10年ほどパリで暮らした後、セーヌ河畔の村、ヴェトゥイユに移り住む。ヴェトゥイユは、モネにインスピレーションを与えた場所の1つであり、ミッチェルを風景画の世界へと文字通り引き込むこととなる。本展で見ることができる2点の油彩、《Untitled》(1979年)と《Cypress》(1980)は、ミッチェルが才能の絶頂期を迎えていた頃のものだが、明らかに風景画への回帰が見てとれる。さらに、晩年期の作品に見られる光と色が交互に繰り返される抽象的「モチーフ」は、彼女の筆遣いがますます自由になっていったことを示している。
Courtesy of the Fondation Louis Vuitton
© The Estate of Joan Mitchell
本展は、フォンダシオン ルイ・ヴィトン(Fondation Louis Vuitton)の所蔵で、これまで未公開の作品を、世界各地のエスパス ルイ・ヴィトンで紹介する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環として開催される。大阪のほか、東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウルの各都市を巡回する予定。より多くの人々に所蔵作品に触れる機会を提供することを目指した、ルイ・ヴィトン財団美術館による国際的なプロジェクトである。
なお、本展会場が5階に入っている《ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋》は、ルイ・ヴィトンの日本国内における2つめのフラッグシップストア(旗艦店)。かつて”海の街”であった商都・大阪の歴史を彷彿させる、菱垣廻船(ひがきかいせん)から着想を得たファサードが特徴で、開業時に話題となった。ビルのデザインを、国内のLV店舗を数多く手がけている、建築家の青木淳(青木淳建築計画事務所 / ASに改称)が担当している。
《ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋》外観 ⒸStéphane Muratet
information
「Fragments of a landscape(ある風景の断片)」展
会期:2021年2月10日(水)〜7月4日(日)
開場時間:12:00-20:00
会場:エスパス ルイ・ヴィトン大阪(大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-8-16 ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋 5F)
休場日:店舗の営業時間に準じる
臨時休館:4月17日(土)〜30日(金)予定
※COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大防止のため、スケジュールが変更される場合あり。最新の開催状況は会場側に確認のこと
入場無料、予約不要
注.会場内の混雑防止のため、入場制限を実施する場合あり
エスパス ルイ・ヴィトン
https://www.espacelouisvuittontokyo.com/