市谷の杜 本と活字館開館記念展「時計台の修復・復元」

大日本印刷株式会社(DNP)が、東京・新宿区市谷加賀町に2020年11月にオープンした、活字と本づくりに関する文化施設・市谷の杜 本と活字館にて、開館記念展「時計台の修復・復元」が今年2月より開催されている。

市谷の杜 本と活字館
「市谷の杜 本と活字館」外観

建物の来歴は、大日本印刷の前身の1社である秀英舎が、第一工場(市谷工場)の大規模な改築工事に着手したおよそ100年前、1920年(大正9年)まで遡る。工事の途中、1923年(大正12年)に関東大震災に見舞われたものの、大きな被害はなく、1926年(大正15年)に工事は完了。鉄筋コンクリート造りの工場棟8棟と営業所棟が完成した。この時に造られた営業所棟が、現在の「市谷の杜 本と活字館」である

市谷の杜 本と活字館
館内 天井見上げ

工場棟の大半は、増改築を加えながら2000年代まで利用され、営業所棟も2016年(平成28年)までオフィスとして機能した。塔屋の大時計がシンボリックな営業所棟は「時計台」の呼称で親しまれ、会社を象徴する「顔」とも言うべき建物であった。
2010年に始まった大規模な再開発工事で、地域一帯の風景は大きく変わりつつあり、かつて工場棟が連なっていた場所は、大日本印刷のオフィスビル群と「市谷の杜」からなる、緑豊かな街へと変貌を遂げている。この再開発の一環として、旧営業所棟の時計台を、大正15年の創建時の姿に復元。建物も、現行の建築基準法に準拠した耐震補強を施したうえで、修復・復元を行なっている。

動画公開中「市谷の杜 本と活字館ができるまで」オンライントークイベント(2021/05/15)
https://youtu.be/OKW8aV6bNhw

市谷の杜 本と活字館
企画展 会場風景

本展では、建設当時の資料がほとんど残っていなかったため、竣工当時の姿への復元が困難な道のりとなった改修工事の過程を公開。本館のロゴマークやサインの制作プロセスなどについても紹介する。
入館は無料、完全予約制。

企画展「市谷の杜 本と活字館 開館記念展 時計台の修復・復元」

information

企画展「市谷の杜 本と活字館 開館記念展 時計台の修復・復元」
会期:2021年02月11日(木)~5月30日(日)10月31日(日)※会期延長
休館日:月曜・火曜(祝日の場合は開館)
臨時休館日:10月20日(水)、10月27日(水)
会場:市谷の杜 本と活字館(東京都新宿区市谷加賀町1-1-1)
入場料:無料
※完全予約制

公式ホームページ(予約はこちら)
https://ichigaya-letterpress.jp/

YouTubeチャンネル
https://youtube.com/channel/UC_j1krLnagGI–6wajU9W4w

なお、同館では、館内施設として、かつての印刷工場に見られた風景を一部、再現している。場内の様子を、2021年9月16日より「市谷の杜 本と活字館 VRツアー」としてインターネット上で公開中。活字の棚や活版印刷機などの展示物に加えて、天井・柱・梁のレリーフ、クラシックな照明やタイル床など、当館の建築意匠を間近に見ることができるほか、通常の来場では立ち入ることができない印刷所エリアもバーチャルで体験できる。

「市谷の杜 本と活字館」オンラインVRツアー
「市谷の杜 本と活字館」オンラインVRツアー画面

「市谷の杜 本と活字館」オンラインVRツアー
https://archives.ichigaya-letterpress.jp/contents/virtualtour/

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