スイス人アーティスト、ピピロッティ・リスト(1962年-)の大規模個展が、茨城県水戸市の水戸芸術館現代美術ギャラリーにて、10月17日まで開催されている。今年4月から6月にかけて京都国立近代美術館で開催されていた展覧会の巡回展。京都会場では見られなかった作品を含む約40点で構成される。
展示風景:「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island―あなたの眼はわたしの島」水戸芸術館現代美術ギャラリー、2021
撮影:川村麻純
© Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine
ピピロッティ・リストは、実験的な映像表現を探究するアーティストとして、1980年代から現在に至るまで、自国スイスを拠点に世界各地の美術館や芸術祭で作品を発表してきた。色彩に満ちた世界をユーモアたっぷりに切り取ってみせる映像と、心地よい音楽や空間設計によるリストのヴィデオ・インスタレーションは、国を越えて幅広い世代の観客を魅了し続けている。
京都会場と同様に、本展は、初期ヴィデオ作品から最新の大型インスタレーションまで、身体、ジェンダーとセクシュアリティ、自然、エコロジーを主題とした、ピピロッティ・リストの代表的な作品が展示される。大きさ5センチほどのLCDディスプレイから、高さ3.2メートル×幅10メートルを超えるマルチチャンネルのプロジェクションまで、リストによる多彩な映像表現を、場内に用意されたソファーやクッションに座ったり、寝転んだり、作品を見上げる、覗き込む、映像を浴びるなど、多様な鑑賞体験を提供している。
《4階から穏やかさへ向かって》2016
マルチチャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(天井から水平に吊るした非定形パネルに投影、可動式の投影2点、シングル又はダブルベッド、枕)、サウンド
展示風景:「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island―あなたの眼はわたしの島」水戸芸術館現代美術ギャラリー、2021
撮影:川村麻純
© Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine
本展のタイトル「Your Eye Is My Island-あなたの眼はわたしの島-」は、ピピロッティ・リスト自身によって提案された短い詩のようなもので、複数の意味が込められている。リストは、活動初期から一貫して人間の眼を「Blood-driven Camera=血の通ったカメラ」と呼び、創作活動を通じて「眼」は重要なテーマであり、「島」は複数の島で構成された日本という土地を示唆する言葉とも受け取れる。
東京の原美術館で2007年に展覧会「ピピロッティ・リスト:からから」が開催されて以来、日本国内では13年ぶりとなる大規模個展。
information
「ピピロッティ・リスト:YourEyeIsMyIsland-あなたの眼はわたしの島-」
出品作家:ピピロッティ・リスト
会期:2021年9月20日(月・祝)~10月17日(日)
※10月9日(土)、10日(日)、16日(土)、17日(日)は優先入場予約実施日
開場時間:10:00-18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜(※祝日の場合は翌火曜休館)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城県水戸市五軒町1丁目6-8)
入場料:一般 900円、高校生以下・70歳以上は無料(学生証、年齢のわかる身分証明書の提示要)、障害者手帳の提示で付き添い1名まで無料
※京都会場の入場券半券の提示で当日券が200円割引(1名につき1回限り、招待券、招待状は対象外)
※他の割引とは併用は不可
※新型コロナウイルス感染症対策を実施中
主催:公益財団法人水戸市芸術振興財団、京都国立近代美術館
後援:在日スイス大使館
協賛:クヴァドラ、Luhring Augustine
協力:長谷ビル、国立新美術館、森美術館、ユニバーサル・ビジネス・テクノロジー、サントリーホールディングス
助成:スイス・プロ・ヘルヴェティア文化財団
企画協力:Hauser&Wirth、一色事務所
企画:後藤桜子(水戸芸術館現代美術センター学芸員)
水戸芸術館現代美術ギャラリー ウェブサイト
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/