東京・浅草に日本初の映画常設館が誕生してから約120年。現在では、日本各地の映画館はシネマコンプレックス(シネコン)が主流となり、映画が娯楽の王様と呼ばれた時代が偲ばれる豪奢な大型劇場や、かつてはどこにでもあった街の小さな映画館などは、すっかり姿を消してしまっている。この間、私たちはどのような空間で映画を楽しんできたのだろうか?
「映画館で映画を見る」という何げない行為も、震災、戦争、復興、経済成長、昨今では新型ウイルスの流行といった社会情勢や、人々のライフスタイルの変化とともにさまざまな変遷を遂げている。
本展は、映画館の写真、プログラム、雑誌・書籍、実際に映画館で使われた品々などを通して、映画館の誕生、映画興行の発展期からミニシアターの時代まで、シネマコンプレックス登場以前の、日本の「観客の映画史」を紐解いていく。とりわけ、往年の貴重な興行資料を軸に、川崎と北九州の2都市での例を通して、映画館と人々のかかわりを示すとともに、建築としての映画館の変遷や、人の目に触れにくいフィルムの映写という技能にもスポットをあてる。
映画興行発展の象徴となった東京浅草六区、戦前期の映画館建築、劇場が発行したプログラム・雑誌、戦時下の映画館の状況、フィルム映写、大型劇場が開場した戦後の映画黄金期、映画館を飾った絵看板、日本各地の映画館、1980年代のミニシアターブーム、映画館をめぐる本といった多彩な展示で、日本の映画館の歴史を辿る。
information
日本の映画館(英題:Movie Theatres in Japan)
会期:2022年4月12日(火)〜7月17日(日)
休室日:月曜、5月24日(火)〜5月27日(金)
開室時間:11:00-18:30(入室は18:00まで)
*毎月末の金曜のみ開室時間を20:00まで延長(入室は19:30まで)
会場:国立映画アーカイブ 7F展示室(東京都中央区京橋3丁目7-6)
入場料:一般250円、大学生130円、
※65歳以上、高校生以下及び18歳未満、障害者(付添は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料
※学生、65歳以上、障害者、キャンパスメンバーズの方は、入室の際に年齢等を証明できるものを提示すること
※5月18日「国際博物館の日」は無料
問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
主催:国立映画アーカイブ
協力:チネチッタ、北九州市松永文庫