「フィスカース村」、みなさんは聞いたことありますか?
デザイン関係の人にとっては、知る人ぞ知る憧れの場所だそうです。
なんと、あのNIKARIの家具の工房もあるらしい!?
そこで現在開催中のイベントについて、
ロンドン在住のジャーナリスト、山下めぐみさんの特別リポートをお届けします!
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text & photo Megumi Yamashita
フィンランドの首都ヘルシンキから西に約1時間。
フィスカース村はオレンジ色の持ち手のハサミで有名な老舗メーカー「フィスカース」の創業の地で、300年以上に渡る生産の拠点となってきた。
1980年代に生産工場の移転によって村は寂れ始めるが、1990年代になり旧工場などの施設を生かした地域再生を開始。
ものづくりに関係するメーカーやクラフトマンの誘致に成功し、現在では600人ほどが暮らすサステイナブルでクリエイティブなコミュニティになってる。
「フィスカース」は、現在では陶器やガラスのメーカー「イッタラ」やイギリスの「ウェッジウッド」なども傘下に置くグローバル企業に成長しているが、「人と地球のウェルビーイング」を念頭に、環境も暮らしも経済のあり方もサステイナブルであることを目指す。
そのモデルケースとなるのが、この「フィスカース・ヴィレッジ」なのだ。
無垢材の家具で知られる〈NIKARI〉も隣接する水路での水力電力を賄いながら、こちらでエコロジカルな家具の製造を続ける。
「アート&デザイン・ビエンナーレ」は、そんなフィスカース村の取り組みを拡めるために2019年に創設されたもので、今回はその第二回目となる。内容的には村の各所で開催される展覧会、地元のメーカーのショールームや作家のアトリエなども公開になり、地図を片手に、自然に囲まれた村やその周辺をトレッキングするという趣向だ。
メインの展示は、建築家や建築学生がデザインした小さな木造のモデルハウスで、全6戸あるこちらには宿泊もできる(Airbnbで予約)。旧穀物倉庫での展覧会「U-Joints:Knots & Knits」は糸、紐、植物などを編んだり結んだりして構築されたプロダクトや建築を展示。古来から人がいかにものを創り上げてきたかを解析する。
1995年よりこちらに工房を構える陶芸家のカリン・ウィドナスが運営する陶芸ミュージアム「KWUM」では、マリメッコのデザイナーとして知られるヴオッコ・エスコリン-ヌルメスニエミによる陶芸家時代の作品の展覧会を開催中。
そのほか、地元作家の作品を扱うショップ、フィスカースやイッタラの製品を販売するショップ、レストランやカフェ、ビール醸造所やジン蒸留所もあり、北欧の夏がめいっぱい楽しめる。
Information
「Fiskars Village Art & Design 」
会期:2022年5月22日(日)〜9月21日(日)※会期中無休
開館時間:展示によって異なるので、HPで要確認。
会場:Fiskars Village, Raseborg Finland ヘルシンキより電車でKarjaa下車。バスかタクシーで15分。
料金: 18ユーロ(全展示入場可)
https://fiskarsvillagebiennale.com