17世紀から18世紀にかけて、俵屋宗達や尾形光琳らによって、京都の町人文化として生まれた琳派。19世紀の初めには、酒井抱一や鈴木其一らによって、都が移された江戸(現在の東京)に引き継がれ、装飾的な美感を核として発展した都市の美術と言える。
一方、19世紀後半のフランス・パリを中心に、マネやモネ、ドガやルノワール、セザンヌらによる新興の芸術運動である印象派は、日常的な経験を通して受ける印象や市⺠生活の喜びを率直に表現した、ヨーロッパにおける近代の幕開けを告げるものであった。
本展は、日本とヨーロッパ、東⻄の都市文化が生んだ天才画家たちの作品を通して、大都市ならではの洗練された美意識の到達点を比較しつつ見渡そうと試みる。旧ブリヂストン美術館時代から国内有数のコレクションとして名高い、石橋財団アーティゾン美術館のコレクションの核となっている印象派の名画と、今回が初公開となる琳派の名品を軸に構成される。さらに、国内の寺院、美術館、博物館から代表的な作品を加えた、国宝2点、重要文化財7点を含む約100点の作品が、会期を前後期に分けて展示される。前後期を通じて見ることができる展示の中には、アーティゾン美術館が所蔵する、鈴木其一が19世紀に描いた《富士筑波山図屛風》と、20世紀初頭にセザンヌが描いた油彩画《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》を並べて鑑賞するという、本展ならではの趣向も。東西の美術を「都市文化」というキーワードで再考する企画展。
尾形光琳《孔雀立葵図屛風》江戸時代 18世紀 石橋財団アーティゾン美術館蔵(重要文化財)/ 通期展示
ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904-06年頃 石橋財団アーティゾン美術館蔵 / 通期展示
information
「琳派と印象派 東⻄都市文化が生んだ美術」
会期:2020年11月14日(土)〜2021年1月24日(日)※展示替えあり
前期 11月14日(土)〜12月20日(日)
後期 12月22日(火)〜2021年1月24日(日)
開館時間:10:00-18:00(当面は夜間開館なし)
※入館は閉館の30分前まで
※最新情報は会場ホームページを参照
休館日:月曜(11月23日、1月11日は開館)、11月24日(火)、年末年始(12月28日〜1月4日)、1月12日(火)
会場:アーティゾン美術館 5-6階展示室(東京都中央区京橋1-7-2)
入館料:当日チケット(窓口販売)またはウェブ予約チケット、詳細は会場ホームページ参照
主催:公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館、日本経済新聞社
会場ホームページ:https://www.artizon.museum/